内容説明
虚実皮膜の間について。正義なるものの落し穴について。愛されたいと望むことの度胸について。官能という名の死について。品格とは何かについて。永遠に解決できない問題について。そして、地中海世界の圧倒的な魅力について。……数多の現実、事実と真実を、映画が教えてくれた。銀幕は人間万華鏡、人生の奥深さを多様に映し出す。だから私は語ろう、私の愛する映画たちのことを――。 ※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
映画が好きな私にとっては塩野さんのこの映画鑑賞記録は何度も読んでいるものの一つです。結構かぶっている作品が多いので「まさにその通り」などとうなずきながら読んでいます。この本を読んでいるだけでも結構映画好きであるということがよくわかるしかなり多くの映画を見ておられます。分野も結構幅広くホラーやミステリーなども見られています。この表題だけでは映画鑑賞録とはわからないでしょうが、いい題名だと思います。2015/07/31
優希
67
映画を軸にしたエッセイでした。映画には様々な人間模様が描かれているのですね。映画そのものではなく、そこから見える男性論、女性論みたいな見方をしているのも興味深いところです。2020/03/01
U
45
塩野さんがご覧になった映画の数々。「ローマ人の物語」などとは異なる短めエッセイでも、文章には気品と知性が漂い、やっぱり惹かれる作家さんだと再認識。人間・塩野七生が伝わり、同じ女性として憧れます。とりあえず塩野さんを12回映画館に通わせた「真夏の夜のジャズ」から見てみようかと。短いお話の集合なので、よみやすくてオススメです。2016/11/22
aisu
18
映画をネタにしたエッセイ(?)知らない映画や俳優も多かったが、知らなくても楽しく読めた。ローマ人の物語単行本2〜3巻を書いていた(準備していた)頃らしい。「言葉について」の後半は著者の実話?息子さんネタとか著者の素顔?が垣間見れる感じ。2015/07/16
tama
11
図書館本 塩野ファンになっちゃったので 全体の8割は映画関連。「アメリカとイタリアでは友情の定義づけからして違う」!。「アメリカ人とは、自分達の考える正義のためなら、誰が死のうが突き進みたいと願っている民族」。「差別用語に神経を尖らせるような不毛なエネルギーの消費はやめにしてはどうか」。「日本のオトナたちは・・・第二次世界大戦の総括を、逃げに逃げ続けた50年ではなかったか」。「真実を知らせることこそ、これからのドイツ人にとって最も役立つことだ」。いちいち沁み込みます。2017/06/02