内容説明
東日本大震災の津波で、壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市。そこで、文化4年(1807年)から続く老舗醤油蔵・八木澤商店は、200年以上の歴史を持つ土蔵や杉桶、そして醤油屋の命である「もろみ」を津波で失った。誰もが「終わった」と思ったが、九代目の河野通洋は震災から5日目にして「必ず再建する」と社員を前に約束する。醤油をもう一度つくれる日を夢見て、必死に再建を目指す社員たち。そんな中、伝統の醤油復活のために不可欠なもろみが思いがけないところで見つかるが、それは彼らが直面する困難の序章に過ぎなかった……。河野をはじめ、八木澤商店の社員たち、そして陸前高田の人々の5年間の苦闘を、緻密な取材で描くノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
82
あの日から6年を経た今、陸前高田の八木澤商店の再生の物語を読むことが出来て本当に良かったです。昨年三陸を訪れたときに食べた醤油ソフトクリームが絶品だったのですが、八木澤のお醤油のソフトだったのかと納得しました。大切なもろみが発見されたことは奇跡だったけれども、八木澤商店の再生は奇跡ではなく、必ず立ちあがるという経営者の一念と数多くの支えてくださった人々の力のなせる技だと思いました。お勧め本です!2017/03/18
oldman獺祭魚翁
39
HONZの紹介を読んで図書館から即借り。東日本大震災で社屋も工場も全て流された陸前高田の醤油蔵八木澤商店。200年続いた老舗だが醤油を造る為の命ともいえる「もろみ」菌が住む蔵全てを失う。しかし5日目の朝9代目社長となる河野通洋は避難所で社員に宣言する「八木澤商店は、大切にしてきた蔵や微生物を失いましたが、一番の宝物は残りました。それは社員の皆さんの命です。必ず、八木澤商店は再建します。何がなんでも再建します。」そして一人も解雇せず、尚且つ内定していた新入社員も受け入れる。2017/03/29
けんとまん1007
29
あれから6年経過した今年。偶然、この本を目にして読んだ。タイトルの奇跡の2文字の意味が、とても深いし、これは奇跡であり、軌跡でもあると思う。そこに生きる人の思いが、こんな奇跡のいったんをも呼び込んだのではないか。仕事とは何か?を考えざるを得ない。共に生きる、そこに関わる人を守るということ。。。この基本的な視点がブレているのが、今の時代でもある。改めて、自分の足元を見つめることにもなる。2017/04/09
愛 飢男
24
東日本震災の際、度々マスコミに登場した老舗の醤油店の復活過程を描いたドキュメント。 もう一つグッと来るものがないのは多分読み手に問題があるのかもしれない。 震災に対してちょっと冷めてしまってるのかな? 悲しいことですが2017/05/07
saga
23
本日この本を読み終えた事により私は3.11をより深く刻むことが出来た。200年以上の歴史を持つ醤油屋の八木澤商店は全てが流された。誰もが「終わった」と思うが、9代目は5日目に再建を誓いチャレンジ。奇跡とありますが、人間の底知れない力の可能性を感じた。2017/03/11
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