内容説明
「憲法は〈国のかたち〉を表現している」「〈国のかたち〉は、改憲しても変わらないこともあれば、改憲しなくても変わってしまうこともある」―― 27回の改正を経てきたアメリカ合衆国憲法の歴史から、「立憲主義」の意外な奥深さが見えてくる。「憲法改正」「解釈改憲」をめぐる日本人の硬直した憲法観を解きほぐす快著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
10
米国憲法改正史を通じ連邦と州、三権の成り立ちを述べる。米国憲政史に関し浅い乍ら理解に至った。国家の定款に当たる20を若干超える統治条項に加え、それを上回る人権関連を含む修正条項を持つ米国憲法の形態と成立理由、憲法を巡って違憲審査を含む司法と大統領府とのダイナミックな関係史が、極めて印象的である。著者は最後に我国の現状への私見を述べる。確かに米国出自の現憲法に、国民は神聖視しつつ議論なく放置して長く、9条といい89条といい、現状は条文から更に乖離する。学者は神学的議論に終始、社会と法典との整合努力を放棄する2024/06/16
sk
4
アメリカ改憲史の本。アメリカは設立以来27回憲法を改正しているし、解釈による憲法の拡大適用なども行われてきた。日本の改憲論争を考える上で重要な資料になると思う。2016/08/19
りぃ
3
「憲法を守る義務は、それ自体究極の義務ではない。憲法を守ることによって国家の独立と国民の安全・繁栄・自由を確保するのが目標である」(235p)。その通りだなあと思った。2022/08/27
Haruka Fukuhara
3
わかりやすくいい本だった気がする。アメリカの歴史の一側面が概観できた。2017/05/16
鍵窪錠太郎
3
中々ハードな一冊だった。合衆国憲法の改憲史を踏まえた上で最後に著者が日本国憲法を巡る議論の感想を述べるという内容であるが、合衆国憲法の影響を受けた日本国憲法を考える上では大いに参考になるように思える。解釈改憲は過去にも行われているのに何故今更問題にするのか、改憲しないorするor全面改正する、国際的な観点、改憲を巡る党派性など、大いに興味深く、数年前の議論に感じていた違和感の正体に納得。合衆国憲法を巡る(行為、運用、判例などの実績の)正当性の話を頭に入れた上で、日本国憲法を見て見た方が良いのでは?2016/10/30