内容説明
大英帝国の繁栄と衰亡。天安門事件とソ連の崩壊からひもとく、共産主義の本質とヨーロッパの将来。「パールハーバー五十周年」に思う、太平洋戦争のリーダーたち。そして、和辻哲郎と天皇制。文明論や近現代史を読み解きながら、日本のとるべき道を示唆した貴重な発言の数々。自由闊達な発想とその独特の史観から、論壇に多くの足跡を残した歴史家の「遺言」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
6
国際政治学の第一人者であった著者の講演集が中心です。どちらかというと右寄りだといわれていますが、どちらにも偏らないで言いたいことははっきり言う学者であったと思っています。分析は的確で歴史にも詳しく、これからの日本のあり方をはっきりと示してくれています。2013/10/21
まさにい
5
最近、小説はあまり読んでなく、この手の本が多い。小説も読みたいのだが時間がない。はぁ~。さてこの本、著者の膨大な知識量を元に、著者の考え方が自由に述べられている。講演を元にした本なので、内容も分かりやすい。このように歴史で考えられる(遊べるといっては失礼なのであろうが…)ことには憧れる。自分で考える事(自分で遊べること)のためには、『何で』『どうして』という疑問を持ち、それを調べることができなくては十分に遊べない。少なくとも、この本には、『何で』を考えるヒントが満載であった。2017/07/21
バルジ
3
講演録や雑誌寄稿を纏めた1冊で現代国際政治から和辻哲郎の「読み方」まで雑多な内容を含む。本書の面白さはやはり著者の透徹した「文明」観が遺憾なく示されている点であろう。イギリスの衰退から和辻哲郎を通しての日本文明への言及はものの捉え方、事象の読み方含め大いに参考になる。文明の持つ「強み」がいつしか「弱み」へと転化する、その際に文明の没落は始まるとのことだが、依然として迷走を続け「失われた30年」を迎えようとする現代日本への強烈なメッセージにも感ずる。2021/03/14
マメラッティ
2
四半世紀前の作品だが、今まさに起きていることを述べているかのような錯覚を覚える。第一部の大英帝国の没落に関する考察など、細かな部分を除いて我が国の課題そのものではないだろうか。中国やソ連に対する部分も、現在の状況を考えると適格だなと思わされる。今ならどのようなご意見だろうか聞いてみたくなるような内容でした。2022/04/19
あんさん
2
「日本には無限探求の精神に支えられた公共的な企業の精神がない」「日本はヴァリエーションとしては素晴らしいものをつくるが、それが広がって行く力に欠けているのではないか」2019/06/20