内容説明
イギリスのEU離脱で揺れるヨーロッパ、泥沼化する中東情勢、「イスラム国」の脅威、世界に広がるテロ・難民問題、覇権国家の思惑、宗教・宗派間の対立……複雑に動く国際情勢を読み解くには、いま「地政学」の知見が欠かせない。各国インテリジェンスとのパイプを持ち、常に最新の情報を発信し続ける著者が、現代を生きるための基礎教養としての地政学をレクチャーする。世界を動かす「見えざる力の法則」の全貌を明らかにする、地政学テキストの決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
47
「海と川は人間を接近させるが、山脈は人間を分離させる」というのが地政学的な発想。長い時間がたっても動かないものが実は、重要な制約条件だ。17世紀半ばの主権国家誕生から国民国家に発展したのはフランス革命以降。国王、国民、独裁者と主役が交替したが、地政学以外の要素で国が動くようになったのはつい最近で、それもどうも一時的だったようだ。複雑に動く国際情勢を読み解くには地政学の知見が欠かせない。また、温暖化により北極海航路が通年航行可能になった。不動と思われた地理的条件の変化は国際情勢にあらたな流動化をもたらす。2017/09/12
かわうそ
37
★★★★☆最近、地政学という本が増えてきたけれども、まともな本がなかなか見つからないという人にはおすすめの本。地政学において大事なことは地図を2次元的に見るのではなく3次元的な視点において捉えるということ。そして、シーパワー同士は衝突は免れないということだ。シーパワー同士で上手く衝突を避けむしろ、ランドパワーを圧倒した例としては日英同盟であろう。まさに日英同盟を推し進めた当時の日本政府は地政学というのをよく理解していた。平沼は複雑怪奇と西洋に対して言い放ったが複雑怪奇だったのはむしろ、戦前の日本であろう2021/11/26
非日常口
35
地政学は地理という人間の歴史において変動のない要因をもとにランドパワーとシーパワーどちらのカテゴリーにその国が入り動くのかを考えることである。温暖化の現代ではマッキンダーの与件が変わった例として北極海ルート開拓がある。こういった地理的要因を把握することで地理ではない要因で動いてる情勢の感度もあがる。宗教も本書では地政学的要因としている。世界史など地歴を見直す時、地図を立体視する訓練をしたくなる。「地政学的に考えて」ともっともらしく語る人間が増える例の批判も実演されている。2016/08/05
Tui
22
地政学、最近耳にする機会が増えている言葉です。では一体どんな考え方なのかというと、実はよくわからない。そこでこの本。内容は平易ではなかったが、地政学の入門書として最適なものではないかなと感じます。なぜなら、地政学の正しい概念と使用法について、数多く出版されている中からふるい分けする目安となる内容だから。文春新書から出ている、とある有名なジャーナリストによる地政学の本を悪例として取り上げ、地政学の間違った定義と論の破綻について述べています。酷評された新書の著者には気の毒だけど、とても分かりやすい解説でした。2017/01/30
hydrangea
19
恥かしながら、地政学なる単語を本書で初めて知った次第。著者の深い知識や思考に毎度感嘆しながらも、講義内容を記した形式になっており、案外読みやすい。本書の内容は基本的な部分であると思うが、世界情勢のニュースを理解する助けになる。あと、他の地政学書籍をボロクソに貶している部分は単純に面白く笑えてしまった。2019/11/17
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