文春文庫<br> 世にも奇妙な人体実験の歴史

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文春文庫
世にも奇妙な人体実験の歴史

  • ISBN:9784167907396

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内容説明

マッドサイエンティストの世界へ、ようこそ
性病、コレラ、放射線、毒ガス……。人類の危機を救った偉大な科学者たちは、己の身を犠牲にして、果敢すぎる人体実験に挑んでいた!

自身も科学者である著者は、自らの理論を信じて自分の肉体で危険な実験を行い、今日の安全な医療や便利な乗り物の礎を築いた科学者たちのエピソードを、ユーモアたっぷりに紹介します。
解剖学の祖である十八世紀の医師ジョン・ハンターは、淋病患者の膿を自分の性器に塗りつけて淋病と梅毒の感染経路を検証しました。十九世紀の医師ウィリアム・マレルは、ニトログリセリンを舐めて昏倒しそうになりますが、血管拡張剤に似た効果があると直感。自己投与を続けて、狭心症の治療薬として確立するもとになりました。二十世紀、ジャック・ホールデンは潜水方法を確立するために自ら加圧室で急激な加圧・減圧の実験を繰り返し、鼓膜は破れ、歯の詰め物が爆発したといいます。
その他にも放射能、麻酔薬、コレラ、ペストなどの危険性の解明に、自らの肉体で挑んだマッド・サイエンティストたちの奇想天外な物語が満載。その勇気と無茶さに抱腹絶倒するうち、彼らの真の科学精神に目を開かされる好著です。

解説・仲野徹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiko

69
ずっと気になっていた一冊を文庫化の機会に。この本の説明としては、「これは、利他精神と虚栄心、勇気と好奇心の奇妙な物語である。そしてもちろん、愚行の物語でもある」という著者の言葉がぴったり。知りたいという欲求は誰にでもあって、なにも科学者だけのものではないけれど、この本に出てくる彼らの欲深さといったら本当に仰天もの。しかしこうした自らの健康、時には命をかけた研究の積み重ねに、今の私たちの生活が支えられているのも事実。科学とは?倫理とは?いろんなことが頭に浮かびながらも、めちゃくちゃ面白く読んだ。オススメ!2016/11/25

キムチ

67
酷似題名の本が衝撃的だったので引き続き読んだ。こちらは筆者ノートンが「自己実現という危険な行為を成し遂げたマッドサイエンティスト」らに捧げた賞賛の本。原題「煙を吐く耳、悲鳴を上げる歯」を読むだけで あらかたが語られる。17章に渡り、整理された ほんの一例の歴史はとても楽しんで読むとは言えぬものばかり 五臓六腑が沸点に達しそうな中身ばかり。何れの章を拡大し、詳細を語り、或いは映像にしても筆者のメッセが伝わるだろう~”医学の歴史が人類の為に己の健康、命を犠牲にした研究者の英雄的行為により飾られたものだ”と2019/12/27

GAKU

65
タイトルだけ見ると悍ましい内容を想像するかもしれませんが、実際は科学者や医者が自分自身に科学的、医学的実験を行ったという実話が色々と出て来ます。とはいえ、感染経路を知るために、患者の吐瀉物を飲んでみたり、自分に病原菌を注射してみたり、毒ガスを吸ってみたりと、常識を逸した行動には驚くばかりです。もはやここに登場した方々は天才とは紙一重の、キ〇〇イとしか思えませんでした。2016/12/23

けぴ

51
現在の世の中から考えると、かなり乱暴な人体実験の数々が紹介される。特に前半の医学系の話が興味深い。痛みに耐える手術から麻酔手術へ。その陰では麻酔から覚めず亡くなることも…。瀉血が健康に良いと信じられ血の抜きすぎで亡くなることも…。放射線を発見するもその危険に気付かず亡くなるキューリ婦人とその娘。その他にも様々な病原菌を自ら飲んで人体実験で証明しようとする科学者たち。今日の発展を支えた史実は重い。2024/03/23

ローレンツ🐾

32
これは凄い!今年読んだ本の中ではダントツの良本だった!実験の内容はダークだが、目的は崇高なものがほとんど。人体実験という言葉の響きが恐ろしくも感じるが、この実験のおかげ今の我々の安全で豊かな生活があるのは間違いない。まさに現代科学の礎となっている。 写真、図式、挿絵がまったくない活字オンリーなのでなかなか読了まで時間がかかったけど、素晴らしい本だった!ちなみにこの本の内容(実験内容)はすべて正式に記録として残されている事実。著者もよく調べたものだ。2022/06/14

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