内容説明
心中現場から、何故か一人だけ姿を消した姉。
ワンマン社長の横暴に不満を募らせる社員達が、それに対抗しようと組合闘争に明け暮れる本多銃砲火薬店。
その工場に勤める花城由記子が、妹の佐紀子に遺書を残して失踪した。社長の一人息子・本多昭一と心中するという書き置きを残して姿を消したのだが、山梨の昇仙峡で昭一の遺体が発見されたにもかかわらず、由記子の遺体は発見されないままだった。ついには殺人犯人として指名手配を受けてしまう由記子――。
姿を消した姉を追って、一人残された妹・佐紀子は必死の捜索を続けるが、そこには思わぬ結末が待ち受けていた。
卓抜したトリックに、人間の底知れぬ業を描いた笹沢左保、会心のミステリー。第14回日本推理作家協会賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
go
2
初めて読む作家だけど面白かった。昭和のミステリーという感じ。文章が読みやすくて良い。松本清張よりは少しサラッとしている。2023/08/26
ぱじゅん
0
1961年の作品を読みました。 時代の匂いがしてくるようで、そういう意味では新鮮でした。 でも、ストーリーに無理があるような気が……ちょっと残念。2017/01/12
しお
0
時代設定が古いせいか少々感覚的に読みづらい点がある。 だが単純に推理小説として見るとかなり良い。わざとらしい伏線もないし、中盤ですでに犯人の予想がついてしまうこともなかった。逆に言うと設定に少々無理があり、それはちょっと考えがつかないわ・・というような結末になっている。2023/01/28