講談社文芸文庫<br> 東京の横丁

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講談社文芸文庫
東京の横丁

  • 著者名:永井龍男【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2016/11発売)
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  • ISBN:9784062903226

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内容説明

「俺は二、三日うちに死ぬ気がする。晩飯の支度なんか放っておけ。淋しいからお前もここに坐って一緒に話でもしよう」妻にそう語りかけた数日後、永井龍男は不帰の人となった。没後発見された手入れ稿に綴られた、生まれ育った神田、終の住処鎌倉、設立まもなく参加した文藝春秋社の日々。死を見据えた短篇「冬の梢」を併録した、最後の名品集。

目次

東京の横丁
神田の生れ
靖国神社大祭
駿河台下の横丁
大火の記憶
白昼の大音響
小学校入学
寂しい正月
横丁の外人
錦華小学校
高等小学校へ
米相場仲買店へ奉公
胸を患う
読書の習慣
処女作「活版屋の話」
帝劇の懸賞脚本
「黒い御飯」のこと
関東大震災
震災のあと
神田の風物
樋口一葉について
小林秀雄との出会い
大正デモクラシー
文藝春秋社に就職
結婚・鎌倉へ移転
母の死
芥川・直木賞制定
二つの大失敗
満洲文藝春秋社創立
文藝春秋退社
四季雑記
谷戸の初鴉
新年日記
寒三十日
船と車
土俵上の笑顔
畳の上
五百羅漢
大銀杏と大石段

吊りしのぶ
鼻の先
障 子
蔵王の芒
雨と乾パン
馬の耳
小錦の余波
たのしい歌舞伎
西と東
石蕗の花
小さな栖処
追憶の人
菊池寛の日常生活
追憶の日々 追悼素顔の里見とん
初対面 尾崎一雄を偲ぶ
今日出海氏を偲ぶ
通夜の谷戸 追悼・中村光夫
大きな窓 悼山本健吉
鉱泉宿 大岡昇平人と文学
短篇小説 冬の梢
あとがきに代えて・父のこと  友野朝子
年譜・著書目録

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

春菊

2
「この児童は、人の幸せをうらやんだり、人の不幸を嘲ったりする性癖がある」自戒したい。「俺は二、三日うちに死ぬ気がする~淋しいからお前もここに坐って一緒に話でもしよう」名セリフだと思う。私は日本酒は飲まないが、作者の文章は、純米のキリッと冷えたやや辛口で口当たりのよい透明な酒のように感じる。明治時代の神保町周辺への愛着が伝わる。青梅雨を読んで好きになった作家。小津安二郎が長生きして「冬の梢」を映画にしたらしみじみと胸に響く作品になったのではなどと妄想する。2021/07/31

treveste

2
永井龍男晩年の作品を集めたもの。永井龍男の文章は、読むと不思議と心が整う。(自分の中で)彼のような作家を歴史に埋没させず、きちんと読み継いでいきたいと思い、この本に限らずいろいろな著作を定期的に手に取っています。2021/02/08

わさぴ

2
永井龍男の人生とその近辺について。文壇の人々の回想も出てくる為、彼のエッセイの入り口に適しているかもしれない。冬の梢は「お世話になりました」が響く。配置したのが彼なのか編集者なのかは知らないが、最後に相応しいように思う。2019/05/13

Hatsumi Sakoda

2
永井龍男は私の祖父と2つ違い、どちらもまだ子供といっていい年齢で小僧として奉公に行き、早くに大人となることを求められ、社会に揉まれて育った。生まれた場所は神田と品川と違うし、奉公先も祖父は浅草だったけれど、同じような景色を見て、同じような空気を感じていたのかもしれない。関東大震災と東京大空襲で江戸の名残は完全に消えてしまった、と言われているが、こうして本の中にはまだ江戸や明治の暮らしが残っている。後半は鎌倉に舞台を移し、抑制の効いた、程のいい文章が心地よさを感じさせてくれる。2017/04/22

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