内容説明
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ドイツは戦後いかにしてナチズムの過去と取り組んできたのか。さまざまな力学が作用する「過去の克服」を戦後ドイツの歩みとともに概観する。日本の戦後史を考える上でも必読の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たか
2
ドイツ一般市民(元ナチ党員含む)が戦後当初はナチの罪を自分には直接関わりのないことだと捉えていたという点が興味深い。ナチ上層部がやったことは悪かったが、自分はシステムに従っただけで、責任はないという。 当時のドイツの若手エリート層の多くもナチ党に所属していて、戦時中はナチ党の管理職に従事し、戦後は労働力不足から非ナチ化が徹底されなかったため、今度は民主化のための管理職のポストについた。 有能な日和見主義者ほどシステムにとって都合のいい人材はいない。それは今も、おそらくこれからも変わらない。2020/01/02
Tomy
2
戦後ドイツ(冷戦時代は東西ドイツ)が如何にナチズムと向き合ってきたか、その軌跡を詳述している。ドイツにとってはやはりSPDが政権を握ったことが重要なポイントであったと思う。そして東ドイツの話も豊富に述べられていたので面白かった。 ドイツのことをろくに勉強してもいないのに、すぐに日独比較を持ち出す人に是非読んで欲しいと思った。2014/10/20
john
1
西ドイツ社会民主党の法律専門家だったアドルフ・アーントの演説「ユダヤ人たちがわれわれの町中からトラックで連れ去られる光景を眼にしたとき、私は通りに出て大声を出すことをしませんでした。…私はユダヤ人を救うために充分なことをしたなどとはとても言えません。人々は戸口の扉を閉ざしたことで、救えたはずの何万人に対して罪を負っています。世間が道義をわきまえ、《ここに来なさい。かくまってあげよう!》と言ってさえいれば、かれらは助かっていたのです。」 「ナチの蛮行を阻む勇気を持たず、ユダヤ人同胞を見殺しにした、当時の↓」2024/03/03
Kuppa
1
第二次世界対戦後、ドイツ国民がどのように「過去の克服」をしようとしてきたか、時代を追って、政治·思想·教育·文化等のあらゆる面から努力し、反発し、20世紀を過ごしてきたのかがよく分かる一冊。国家的犯罪に、誰がどう贖罪するのか、世界とどう向き合うのか、正解はなく、それでも贖罪しなければならないのだ。本書が書かれてから約20年経ったいま、戦前の記憶を持つ人達が少なくなるなか、ドイツが過去とどう向き合っているのか、知りたくなった。贖罪は続いているのか、負の遺産として過去の記憶になっているのか、、2021/03/10
Liz Lilly
0
92016/03/24