内容説明
自然史博物館で働くことになった女性新人分類学者・池之端環。植物標本の整理を命じられ、未整理の標本や資料が大量に詰め込まれた旧館「赤煉瓦」に足を踏み入れた環が出会ったのは、そこに棲みつくファントムこと変人博物学者の箕作類。「どんなものも絶対に捨ててはならない」が口癖の箕作と、片付け魔の環のでこぼこコンビが、博物館で起こるさまざまな事件の解決に動き出す!
目次
呪いのルビーと鉱物少年
ベラドンナの沈黙
送りオオカミと剥製師
マラケシュから来た化石売り
死神に愛された甲虫
異人類たちの子守唄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
258
科学蘊蓄な事件に巻き込まれ型の短篇全6話。伊与原さんの真骨頂ですよね( ¨̮ )。『死神に愛された甲虫』はJ・B・S・ホールデン(生物学者)かなぁ〜と思ったら、J・B・S・ホールデンのエピソード出てきた( ໊๑˃̶͈⌔˂̶͈)。死神では無いけどね。研究者顔負けの各種標本蒐集家はいますね。中でもアマチュア昆虫標本蒐集家は層が厚そうな気がするよ。その第一人者がキーパーソンになるのですが、そういう人は子供相手でもムキになる位が丁度良いし、少年時代の想い出として大人扱いされた気になって嬉しいってのが良いな。2023/10/18
papako
64
なんだか気になって。いわゆる薀蓄系謎解きものですが、これは好みでした。博物知識と謎のバランスがいいからかなぁ。『ベラドンナの沈黙』『送りオオカミ〜』『死神に〜』がよかった。作者の『ルカの方舟』を読んでいたので、ミツクリさんが意外に普通の性格で拍子抜けでしたが、タマキとの対比でいいコンビでした。他の作品も機会があれば読みたいです。2017/01/23
スズ
53
国立自然史博物館で働くことになった池之端環が、旧館に住み着く博物学者箕作類と出会い、様々な事件に巻き込まれていく物語。片付け魔の環と、散らかし魔の箕作の言い合い(いつも箕作にスルーされますが)が良かった。鉱物・植物・剥製・化石・昆虫標本・骨など自然史に関係する展示品に関連した事件やそれらについての豆知識が面白かった。博物館の所蔵品は膨大で、私達が展示室で見ている物はそれのほんのごく一部にすぎないことが分かった。しかしながら、博物館のようなアホみたいな倍率を潜り抜けないといけない職場で働けるなんて羨ましい!2016/09/19
ソラ
39
面白かった。自然科学的なものと混ざり合わさったようなミステリーは好みなだけにこれはどストライク。思わず博物館に行ってみようなという気にさせられた。送りオオカミ、シバンムシの話が特に良かった。2016/11/05
み
35
気になってた作家さん。面白かったぁ♪博物館の裏側も覗けた気になれます。ホントの悪い人は、最後のお話しの現地の方ぐらいで、楽しめました(^o^)ただ、あたしの通う図書館ではヤング棚にあったのですが、ヤング向きってわけでもないような。2016/11/10