岩波新書<br> ルポ看護の質 - 患者の命は守られるのか

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岩波新書
ルポ看護の質 - 患者の命は守られるのか

  • 著者名:小林美希
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2016/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316145

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内容説明

深刻さを増す人手不足の問題,また入院期間短縮化と在宅化が急速に政策的に推進される中で,ひずみをもろにかぶっている看護の現場ひいては患者の置かれた実態に,定評ある著者が鋭く切り込む迫力のルポルタージュ.看護の最前線で,いま何が起こっているのか.本来の看護とは何か,多職種による真のチーム医療とは何かを問う.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 看護の質の劣化
    「よくあの時、患者さんが死ななかった」/思うような看護ができない/看護師が病棟にいない/病院で送った母の最期/人間の整備工場と化す病院/垢だらけの患者/嫌な仕事は准看護師へ
 第二章 姥捨て山の時代がやってきた
   私の仕事は「追い出し屋」/ 「たらい回し」の仕組み/鳴りつづける「離床センサー」/ 「もう病気にならないで」/ 「七対一」から「一三対一」へ/中小病院の生き残りは容易ではない/生活指導もないままに/訪問看護の現実/看取りもまた……/精神科病棟での困難
 第三章 真のチーム医療とは何か
   チーム医療の促進で、救命率が大きく変わった/周産期医療における多職種連携/子どもや家族に寄り添えるチャイルド・ライフ・スペシャリスト/チーム医療の目覚ましい効能/ictを活かした在宅医療/緩和ケアでやりがいを感じるとき/三年ぶりの外出をサポート/実習を通して学べること/縁の下の力持ち──看護助手/リハビリ患者が激増する中で──理学療法士・作業療法士/ 「分担」ではなく「分断」──介護職/ 「誰が責任をとるのか分からない」──助産師
 第四章 あるべき看護の姿とは
    「特定行為に係る看護師の研修制度」/ 「いつ事故が起きても不思議ではない」/研修制度ができるまでの議論/名ばかりのチーム医療──現場からの疑問の声/置き去りにされた准看護師問題/ともかく看護師が足りない!/労働強化の背景/追い出し医療のはてに/看護師の仕事とは何なのか
   おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kotte

11
小林美希さんは看護、保育、雇用の分野に強い方で、本書も期待通りに読み応えのある本でした。なぜ看護の質の維持が危ぶまれる事態に陥っているのかがよくわかります。2017/06/10

てくてく

8
命や医療の現場に関するルポを発表している小林氏の新作。医師不足、さらに看護師不足が言われて長年が経過し、大学の定員は増やされているにもかかわらず、その不足が解消できない原因としての、現場の問題を明らかにしている。医師ではない看護師ならではの患者や家族への寄り添い、ということができなくなっている現状、離職率の高さ、そして何よりも安心して入院や医療ケアを受けることが難しくなっている問題を再確認した。さて、こちらは看護学科の学生に勧めても良いものだろうか。でも、読んでほしいと思った。2016/10/28

amanon

6
本来、人の命を預かる仕事であった筈の医療看護が人の命を管理処理する仕事になってしまったのではないか?と思わされた。少子高齢化による医療費の逼迫はよくわかるが、だからといって、経済的効率が優先されて、患者や現場にいる人間の命や尊厳が蔑ろにされていいわけではない。それなのに状況は大手病院に都合が良い方向に流れている…そうした中でも、前向きにこの状況に取り組み、良い結果をだしている医療機関も紹介されているが、ごく僅か。目先のことだけに捕らわれるのではなく、長期的な視点に立っての医療行政の必要性を痛感する。2019/08/07

KYOKO

5
著者の講演を聞いたことがあるけど、粘り強い取材と科学的な分析に基づいていてとても納得させられた記憶があります。 やはりこの本も同様でした。 医療現場の労働強化の背景に診療報酬などの制度の問題があるという指摘。 労働組合として、対病院との交渉でできることもあるが限界もあるなあと考えさせられました。2016/08/26

ぷほは

4
手堅い記者の仕事ではあるが1、2章で問題の要因とされたことが3章で成功の要因とされるような箇所がいくつかあり、同じ問題を形式合理的/実質合理的に恣意的な線引きを行っているようにも思えた。が、情報量は確かに豊富で勤務形態の正循環ー逆循環の規制などは知らなかったし、特定行為や准看護師をめぐる専門性の変容はマクロなレベルでもミクロなレベルでも多くの論点を含むものだというのは良く分かった。これをキャッチーなフレーズで投げるのみならず、きっちりアジェンダ化して議論をするための土台作りなどは社会学でも貢献できるはず。2018/08/26

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