内容説明
殿様の尻拭いのために仇討ちを命じられ、どうしても相手を討つ気になれない武士の心情を描いた表題作をはじめ、江戸家老の馬鹿息子のいたずらが招いた悲劇(「刃傷」)、愚かな領主の死後、藩を守るべく奔走する江戸留守居役の苦労話(「疼痛二百両」)など、身分社会ならではの葛藤を描いた傑作短編集。剣豪・塚原卜伝や近藤勇、土方歳三など新選組を描いた佳篇をも収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
面白かったです。身分社会ならではの葛藤と悲喜交交を描いた短編集。独特の味わいがたまりません。短編ならではの魅力が詰まっていました。2023/03/05
優希
42
再読です。身分社会ならではの葛藤が鮮やかでした。人情味あふれ、様々な表情の人生を見ている気分になります。個人的に新選組の短編が入っているのがツボでしたね。鬼の副長と言われた土方さんの人情が何だかじんわりきました。2024/04/09
Die-Go
41
様々な武家による悲喜交々。新選組絡みの「色」「龍尾の剣」目当てで買ったが、他の短編もとてもよかった。近藤勇もよい。 ★★★★☆2022/07/01
優希
37
身分社会ならではの葛藤を描いた短編集。様々な武士の弾き交々の感情を生き生きと描いているように感じました。何とも言えない味わいがありますね。特に新選組を描いた『色』と『龍尾の剣』が良かったです。勿論他の短編も良かったです。短編ならではの義理と人情が凝縮されていて面白かったです。2025/03/22
星落秋風五丈原
28
「卜伝最後の旅」永禄4年(1561年)17年ぶりに武田信玄を訪ねた卜伝は71才。梶原長門から立ち会いを求められる。宿に入った時卜伝が「今度はひょっとすると負けるかもしれぬ。」と言ったり、薙刀でなく太刀での立ち会いを求めた事から長門は慢心する。その隙をついて彼を破る卜伝。しかし詐術と見せ掛けたそれらの言葉は、実は卜伝の本音でもあった。「わしの心底に潜むものをすべて素直に率直に吐露したまでじゃ。いかなる剣いかなる刀をも怖れなかったわしも今は試合うことが恐ろしい。」川中島を観戦する卜伝。2003/08/29