内容説明
2015年8月、天津で起こった空前の大爆発。これは習近平・中国国家主席を狙ったテロだったのか。不気味な不協和音が響く中国共産党の最高指導部内で、いま何が起こっているのか。
「反腐敗運動」で政敵を次々に追い落とし、盤石を誇った習近平の体制が、いま揺れている。天津の大爆発、北朝鮮をはじめ周辺諸国との危うい緊張関係、南シナ海裁判での完敗、大失敗に終わった米中首脳会談、政権幹部を脅かす「爆弾文書」の存在、政権が発足して初めての側近失脚……。
驕りゆえに難局を招いた最高指導者が置かれた現実と、激しさを増す党内権力闘争の裏側を、ボーン・上田賞記者が独自の取材にもとづき鮮烈に描く。世界の政治経済を動かす主要なプレーヤーである中国の動向を見通す上で必読の1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
15
中国共産党内部の熾烈な権力闘争。着々と権力基盤を強化する習近平に対し、共青団や江沢民ら長老たちが繰り広げる暗闘の裏側。今年秋の党大会での最高指導部人事で「ポスト習近平」が見えてくるが、著者がダークホースとして取り上げる貴州省トップの陳敏爾は気になる存在。7月の香港返還20周年記念式典に習近平が出席する予定との事、ひと悶着起きるのでは? ◆中国を拠点に取材をするジャーナリストならではの裏ネタやエピソードも散りばめられている。当然情報元は明かせない。北戴河会議をオープンでやってくれないかな^^;2017/06/01
入道雲
4
中国国内のニュースは断片的に見えて、実は闇の中で繋がっている。そういう筋が浮かび上がってくる本書。天津大爆発や北京の暴走フェラーリも実は遠からず関連があったとか。そして中国外交にも繋がりがあり、日本も中国共産党の暗闘に揺さぶられている。興味のない人には全く勧めないが、読めば今後の中国関連のニュースの見方が変わるだろう。続編を期待する。2018/01/04
dragon
3
日経の記者として中国駐在経験のある筆者。現在も中国政治情勢の記事を日経に書いている。この本は2016年のもの。今、つまり2017年から当時の状況分析を読むと中国情勢の分析はやはり難しいと思う。大きな流れはあるだろうが、個々の局面は内部闘争の駆け引きの途中であり、予想は困難と確信した。2017/11/20
takao
2
ふむ2024/12/11
joymanChaneD
1
2017年の党大会を見据えた中国共産党内の権力抗争を描く一冊。これをもとに2022年党大会において決定した指導部のメンバーを見てみると、いかに習近平一強体制が確立されているかが分かる。2022/11/28