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内容説明
そもそも「農」とはなんだろうか。農業に関する議論はたくさんあるが、産業の視点から語ったものに過ぎず、農の本質が語られることは近年ほとんどなかった。しかし、大正から昭和初期に、資本主義と農の本質は相いれないとして、「農本主義」を表明し、人間と自然の関係を問いなおす動きが生まれた。残念ながら昭和前期にはファシズムの温床だと誤解されてしまった「農本主義」を、資本主義が行き詰まりを見せる現在、再評価し、天地ともに生きる新たな思想として案内する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかしー
95
うーん…主張している事は素敵でもっともだが、そんなので食べていけ〜、採算が〜、生産性が〜、他の産地や安い海外品に〜等が作者の批判する資本主義バリバリな考えがチラついてしょうがなかった…結論としては農業は資本主義には合わないってことなんだろうな。宇沢弘文氏の社会的共通資本に近い感想を覚えた。2021/01/24
壱萬弐仟縁
46
著者は「農を本(母体)として」という使い方に感動を覚えている。橘孝三郎氏の「天地自然のめぐみ」とは食料も、働きも、自然環境も地域社会も伝統文化も含まれるという(017頁)。これは、従来の学問で農政学や、農業経済学だけでは取りこぼした地域伝統文化社会を扱う文化経済学の包摂を示唆してもいよう。農業とは、農のうちの産業部分、カネになる部分。農のごく一部(027頁)との認識が重要だと思う。著者の農本主義の定義は、農業を農に戻していくことだという。農とは、農地(大地)を通して、2017/03/01
さきん
30
著者の考えてきた農に対する考えを紹介。著者の考えに大方賛成だが、国家や資本主義の効用を軽視している感がある。農、自然、故郷を基礎に国家をつくる、農業の資本主義依存を脱却する、故郷で農業をやりつつも子育て出来る社会ならば大いに賛同したい。2016/11/03
えも
27
農本主義について知見を得ておこうと読んでみました▼主旨や背景、代表的な人物などについての概要はわかりましたが、中盤以降は、著者にとっての現代農本主義論みたいな流れになっていて、やや購入意向とは異なった…▼その主張・理念についても、心情的には分かるんだけど、現代日本の中で、著者のいう「農」や「天地有情の共同体」を、どれだけの農家・農村が実践できるのか?▼その具体策まで提示してあると良かったんですけどね。 2018/05/13
双海(ふたみ)
20
橘孝三郎・権藤成卿など学生時代に触れた名前が出てきました。なつかしい。農本主義などというものを今再考している人がいるとは・・・。農が資本主義とは相性が悪いということはよくわかりますが、では今後どうしようか・・・?いわゆる反近代という(やや面倒な)問題も扱っており、興味深いのだが・・・うーん。2017/02/26