内容説明
知略と武力を駆使した壮絶な戦いと熱き人間ドラマ。
問答無用の本格合戦小説!
「武田信玄死す――」元亀4年、その噂が戦国の世を揺さぶった。父の悲願、天下掌握を果たすべく信長の追い落としを図る勝頼。生き残りを賭け謀略をめぐらせる家康。信長の命で大量の鉄砲調達に奔走する秀吉。そして兵として戦場を駆け回る地侍の宮下帯刀。男たちは長篠の地に集結し、死力を尽くした戦いに臨む。戦国の大転換点・長篠合戦と熱き人間ドラマを圧倒的臨場感で活写した、問答無用の本格合戦小説!
<絶賛の声、続々!>
「この臨場感は何だ。歴史小説界を制する恐るべき合戦の<再現力>!」
――縄田一男氏(文芸評論家)
「見事な歴史解釈と問いかけにより、物語も楽しめるし、歴史も楽しめる。一粒で二度おいしい作品」
――本郷和人氏(歴史学者)
「武田家ものの決定版! 伊東潤ならではの史観を交えて描ききった戦国時代小説の新たな傑作」
――東えりか氏(書評家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
145
武田信玄の死から長篠合戦で武田軍が大敗する迄。嫡子ではない身の諏訪四郎勝頼が武田家の後継となった。偉大すぎる父・信玄を持つが故の勝頼の苦悩。もとは傍流の諏訪四郎であり、勝頼を侮る親族衆。当時の東国の合戦でも鉄砲が大きな役割を果たしていた事が分かる。伊勢長島の一向一揆が信長により殲滅され、火薬と弾丸が枯渇する武田家。もとは火薬と弾丸を確保する為の三河進攻の筈が、実際は武田家は存亡をかけた合戦に誘導されていた。大名の視点に加え、国人の視点もあり物語に奥行きが出る。経済小説の背景もあり。実に読み応えある作品。2018/04/30
岡本
107
「武田家滅亡」に繋がる信玄没後から長篠の戦いまでを描いた一冊。武田勝頼、徳川家康、羽柴秀吉、武田家国人衆と視点が変わり、其々の苦悩が描かれている。読んでいる途中は奸臣・釣閑斎が嫌で仕方なかったが終盤で勝頼の一面であるとの告白には納得。歴史を知っているからだが、春日虎綱の助言を全て受け入れていれば滅亡は避けられたかな、と思ってしまうけど覚悟の足りない勝頼にあのレベルの改革は出来ないだろうな。2019/05/31
Rin
71
ひとつの戦に勝利するということ。国を、軍を束ねるということ。対立国だけでなく自国の中にも敵はいる。そんな時代のなか武田軍や織田軍のなかで生き抜こうと、知恵を絞り、激情抑えながら戦に挑む人々。戦うことだけが戦ではなく。駆け引きや、下準備などはもちろん、本来の生活を捨ててまで戦いに赴かなければない人もいる。信長や家康、秀吉に勝頼、帯刀。それぞれの立場から語られる欲望や苦悩、その生き様に目が離せなくなる。特に帯刀の語りは生きること、平穏な生活へ帰りたいという気持ちがひしひしと伝わってきました。2018/08/26
てつ
53
伊東潤氏の切り口は斬新で重い。面白かった。2017/06/25
kawa
45
山岡宗八署「徳川家康」全26巻読書中。三方ケ原~長篠の戦い辺りの詳細が知りたくて、信玄没から長篠の戦いにスポットを充てたこちらへ。山岡著で描かれない、三方ケ原は信長に仕向けられた戦い、高天神城攻防戦など武田勝頼の攻勢にタジタジの家康、長篠での武田軍を追い詰めた酒井忠次別動隊の動き等が興味深い。同時代の作品を別作家さんで並行的に読むとさらに面白さが増す。次は「武田家滅亡」へ。(コメントへ)2021/12/27