貧困なき世界―途上国初の世銀チーフ・エコノミストの挑戦

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貧困なき世界―途上国初の世銀チーフ・エコノミストの挑戦

  • ISBN:9784492444337

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内容説明

開発経済学はこの半世紀以上、政府主導から自由市場重視まで、両極端の政策を実験のように試行してきた。たとえば、1980~90年代はワシントン・コンセンサスといわれるビッグバン・アプローチが支配的な考え方で、市場の歪みを一気にすべてなくすことが市場経済化の成功のもとだと考えられてきた。だがこの先進国がつくった開発理論に沿って改革を推し進めた国は、みな、失われた20年を経験している。
対照的に、主流派経済学の市場メカニズムの原理をまったく無視した、当時、一番悪いやり方だと見られていた、いわゆる「漸進的アプローチ」を実践した国は、みな成功を収めている。
本書は、この、順調な高度成長を達成してきた東アジアの国々の経済発展の歴史からみて、一見中庸あるいは中道派にみえる後者のアプローチをとることが、実際の処方箋として非常に有効であることを現実の成果によって検証し、推奨する。
 開発経済学に、「成功させるヒミツの魔法」があるわけではない。先進国の作った理論を鵜呑みにせず、そして先輩途上国のたどった軌跡をそのままたどることでもなく、自分の国の資源制約に適した政策を立て、地道に遂行することしか、発展への道はない。本書は、中国の発展のプロセスを克明に記し、各国ごとの特性にあわせた開発戦略のロードマップを描くことで、自国の発展のために日々頭を悩ませている途上国エコノミストにとって本当に役に立つ開発モデルの枠組みを提供する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

35
2012年初出。ODA研究の第一人者、小浜名誉教授訳の好著。表紙見返しに6ステップで後発性の利益を実現すれば脱貧困という。①自国と要素賦存が類似で所得水準100%高いか、20年前に所得水準が同じ国、成長貿易部門の発見。②技術高度化、新規参入障害を除去。③そうした産業なき場合、①国からFDI誘致、政府が企業支援。④ ①で特定された産業に加え、企業が新産業創出に注目、イノベーション支援。⑤インフラ未整備、ビジネス環境悪い国では、経済特区、工業団地で参入促進、クラスター形成。2017/03/06

ヒデミン@もも

34
ゼミ試験。開発教育の本より、本格的。もう少し知識が豊富になってから、じっくり読みたい。2018/02/27

よく読む

2
構造主義ではなく新構造主義によって途上国開発を試みる世銀のエコノミスト。国連主導のアジアやアフリカの経済開発はうまくいかないものが多かった。20年前に所得水準が同じ国で経済的ファクターが同じ国を探し、そのような国が見つからなければ経済特区を作り企業誘致や起業支援を行うことなどが書かれてあった。いきなり工業社会になるより、鉱物やメタルなど、てもとの資本を活かすことなども書かれてあった。雁行形態論や、動態的比較優位について触れられてあった。2019/11/22

寝子

2
台湾出身で、世銀チーフエコノミストの林毅夫氏による途上国の産業振興政策の提言。 工業化に成功・失敗した事例の分析から導かれた6つのステップからなる産業振興策を提案している。(事例は13か国と少ない) 骨子は比較優位と雁行、制度も含めた物的・人的資本のもと比較優位産業を選定し、先進事例に倣って振興すべき、とのこと。 気になった点がいくつか ・10年単位の期間を要する政策の前提条件が実現の途上で変わらないか?(比較優位というコンパスに従って柔軟に、ということではあると思うけど、それが可能か?) ・イノベーシ2017/02/06

Keisuke

1
ちょっと知識不足の為、消化しきれず。2017/04/12

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