内容説明
今、世界中で「ポピュリスト旋風」が吹き荒れています。
2016年11月に実施されるアメリカの大統領選挙における共和党のドナルド・トランプ候補、
民主党から出馬したサンダース元候補、フランスの右派政党「国民戦線」の党首である
マリーヌ・ルペン、前大統領のサルコジ。さらにEU離脱の旗振り役だった「連合王国独立党」の
元党首ナイジェル・ファラージ、元首相のブレア、サッチャー、ギリシア左派政権の指導者ツィプラス、
南米ベネズエラの左派政党を率いた前大統領のチャベス、日本では元首相の小泉純一郎など……
数えればきりがないほどポピュリストが溢れています。なぜ、元々はマイナーな存在だった
ポピュリストたちが今、支持を拡大し始めているのでしょうか。
一体、ポピュリズムはどのようにして起こったのか、ポピュリストとはどのような人たちなのか、
ポピュリストとどのようにつきあっていくべきなのか。
朝日新聞GLOBE編集長が、この世界的なテーマに挑みます。
【目次より】
◆第1章◆なぜポピュリストが世界で跋扈するのか
◆第2章◆冷戦後の新秩序はまだ固まっていない
◆第3章◆着ぐるみ民主主義の時代
◆第4章◆トランプが大統領になる日
◆第5章◆サンダースの謎を探る
◆第6章◆国民投票の罠に落ちた英国
◆第7章◆右翼が守る欧州文明
◆第8章◆プーチンはなぜ80%の支持を得るのか
◆第9章◆ポピュリストが政権を握る時
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
38
民主制において、政治家のレベルは民衆のレベル、というフレーズが思い出される。怒りという感情を掻き立てて、わかりやすい敵をつくり、排除をもって現状を打開させようという大衆政治。彼らは目立ちたいだけで、世界をカオスにしたいだけ、惑わされる民衆のレベルが低いという事実、わかる。彼らは政治家ではなく、エンターティナーというのも、聴衆の喜怒哀楽を掻き立てるのがうまいから、というのも切ない話。感情や排除では解決できないんだ、一歩一歩議論していく。この姿勢を忘れちゃいけないんだな、と改めて思う。しかし、人間は弱い。2016/12/12
メルセ・ひすい
11
ポピュリストとは⇒★勝手に標的を定めて突進する!「ドン・キホーテ症候群」 ★世の中をすべて敵と味方に分ける!「白黒分別主義」 ★庶民でもないのに庶民の仲間だと演出する「マルチ商法プロデュース」 ★周囲に迷惑をかけても平気な「巻き添えパフォーマンス」 そして、同居する概念として、★ナショナリズム★強権主義★デマゴギー 石原慎太郎さんはポピュリストでしたか? ⇒右翼政治家。橋下徹さんは、正にポピュリストだ。ただし違いはよくわからない。。2017/03/21
メルセ・ひすい
9
トランプ、ルペン、サンダース、ベルルスコーニ、小泉純一郎…。なぜポピュリストが世界で跋扈するのか。なぜポピュリストは物事に白黒をつけたがるのか。ポピュリズムとどう向き合い、どう付き合うべきかを論じる。2017/03/03
紫の煙
6
良い意味では使われないポピュリストだが、エスタブリッシュメントと対比する構図では、一概に弊害のみであるとは言えない。ポピュリストが跋扈する背景には、冷戦体制の終わりとグローバリズムがあるが、本来、公正で正直であり庶民の為に正しい政治を行うべきエスタブリッシュメントの凋落も原因だ。そしてとうとうトランプが大統領になるのであり、時代の移り変わりを感じる。2017/01/15
oanchan
5
成熟化した社会では誰かトップになっても日常生活は変わらない。しかし、ポピュリズムによって選ばれたトップが、暴走すると恐ろしいと思った。アメリカ大統領がポピュリズムによって選ばれたことは、世界的に大きな変革期にあるのだと感じた。2016/11/20