内容説明
19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。幾重にも重なる屑山の中心に「堆塵館」という巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、一生涯肌身離さず持っていなければならない。15歳のクロッドは、聞こえるはずのない物の声を聞くことができる変わった少年だった。ある夜彼は屋敷の外から来た召使いの少女と出会う。それが一族の運命を大きく変えることに……。『望楼館追想』から13年、著者が満を持して贈る超大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
187
三部作というので、『カルニヴィア』の時のように、全部出た後まとめて読もうかと思ったのだが、これはやはり一冊ずつじっくり、間を置いて読んだ方がいい作品。ディケンズや『五輪の薔薇』とかが好きな人間にはたまらない。19世紀の英国って、特にロンドンは小説の舞台としては何よりもふさわしい。その不潔さと猥雑さが魅力的。誕生の品の正体が明かされた時、嫌な予感がした。ひょっとしてクロッドが…と思ったが、まさかルーシーが…。切ない恋物語。堆塵館と月桂樹の館はどう違うの?2016/12/19
KAZOO
146
これは世界の奇書だという気がしました。お気に入りさんの読んでいた表紙を見てまず主人公がヒトラーなのかと思ってしまいました。三部作の最初ですがこの世界は何なのだろうという気がしました。これが十代の読者向けということでもさらにビックリ、建物の構造にもビックリ、この作者が書いた挿絵にも、小説の中で食べるものにも、何なのだこれは、ということばかりでした。気持ち悪いけどやめられないという感じです。2018/06/07
ケイ
139
ゴミから財を成したアイアマンガー一族。荒唐無稽なようで、しかし、都会の生活にゴミの処理は欠かせないものであるし、ゴミ処理業者は非常に儲けているということを思いだしてからは、大変にシュールな話だと、その着眼点に感心した。こういう事かなと思っていると、考えとは違う方向に話が進む。なるほど、そこに戻ってきたのかというエンディング。二部は手元にあるけれど、全部読んでわかってくることは何なのか気になる。2017/08/09
nuit@積読消化中
100
あぁ、失敗した…いや、良い意味の失敗です。三部作とは分かっていたものの、どうしても早く読みたくてつい手に取ってしまい、読み出したらどっぷりハマってしまいましたが、続きが気になる!!揃ってから読めば良かった〜。ヴィクトリア時代でダークファンタジー、作者のエドワード・ケアリーの不思議な世界。読まずに年は越せませんでした。この作家さんの『望楼館追想』も読んでみたいのだが密林では相当高値だわ…。2016/12/10
mocha
99
19世紀ロンドン郊外、巨大な屑山で暮らす風変わりな一族。人とモノとの奇妙な絆の物語。煤け汚れたスチームパンクの雰囲気がなんとも魅力的だ。訳者あとがきにはディケンズに触れられていたけど、私にはディケンズとダイアナWジョーンズを混ぜたような匂いがした。しかし思いもよらないラスト。この世界はどこへ向かっているんだろう。次巻が楽しみ!2018/10/31