内容説明
雨降る洋館に届く手紙が、きっと、明日への希望をくれる―。ふたりの女性が紡ぐ、美しい物語。
子供向けのセミオーダーアイテムをつくる仕事をしている季衣子。彼女が作る品は一つとして同じものはなく、子供受けもよく人気があった。しかし、自宅の近所での工事の騒音で、仕事ができなくなってしまう。
途方にくれていると、看護師の友人からリハビリで長期転院する女性が家の管理人を探しているという話を聞いた。そこで仕事をさせてもらうことと引き換えに、季衣子は管理人を引き受ける。さっそく向かうと、そこは湖畔に立つ素敵な洋館だった。が、そこには、かつて幼い季衣子が今の仕事を選ぶきっかけとなった憧れの品――古いオブジェ『夜を測る鐘』があった。なぜここに?と疑問を持つ季衣子に、婦人は自分の過去を語り……。
雨降る洋館に届く手紙とは。
ふたりの女性が紡ぐ、明日に向けて背中を押してくれる美しい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
61
読み終わって、しばらく呆然としていた。涙が出そうだった。芸術を志す若い人が認められて世に出ていくとき、いろいろなことが降りかかってくる。自分の中に、信じられるものがあるかどうか。そこで負けてしまうと、終わってしまう。そういう「若さ」が自分の若いころと重なり、切なかった。とても繊細で、良い作品なので、広く読まれてほしい。 2016/10/18
はつばあば
54
女の一生とはどのようなものなのだろう・・とこの本を読んでしみじみと考えさせられた。今は独身で一生を終える人も少なくはない(我が娘も然り)。かと思えば親の言いなりに結婚する者もあれば(私(笑))マコ様のように親の反対を押し切ってでもと言うツワモノもいらっしゃる。この本を読んでいて男が登場する場面からずっと虫が這いずり廻る感覚が。綺麗なモノが汚されて・・汚染されていく様が巧い。男も女も色々な人がいてるが騙されないで。優しそうでもDV男も女もいる。厳つくても繊細な人もいる。見極めが難しい時はその友人をみて。2019/02/18
真理そら
46
裁縫が得意で知人のつながりやネットで販売している季衣子は、一人暮らしなのに入院する羽目になった老婦人・高窓の家の管理をすることになった。湖、海辺、雨と水に関する記述の多い湿度高めの物語。季衣子の作品に大手企業からの誘いがあり、強引な担当によって当初の企画から大きく変化してしまい季衣子は断ろうと思う。高窓は若いころ「音羽」という友人と楽しく造形作品を作っていたが賞を取ったことで方向性が変わり造形から離れてしまった。メジャーになることの長短を考えさせられる物語。登場する男たちのクズっぷりに唖然としながら読了。2025/03/09
hirune
46
【Kindle】とても真面目で丁寧に書かれた小説でした。モラハラの加害者は 被害者になる人を嗅ぎ分けるのに長けてると言われますが、分かるんでしょうね、きっと。そして 蜘蛛のように被害者を見えない糸で縛り上げ ゆっくりと体液を吸い上げて、反抗や逃亡の意思そのものを奪って 弱らせていく…ホラーですわ😱そんなものに経験の浅い若い女性が対抗できるわけもなく。。若くて 女性というだけで、彼女らが直面させられる苦難に心が痛みます★2019/07/30
はな
26
裁縫職人の主人公は、ある事情から洋館の管理を任されることになり、主の過去を知ることに。職人としての様々な思いが、この出会いを期に少しづつ変わっていく。自分が"正しい"と思える物を作るために。 なんというか、心情の表現、背景が繊細でキレイな反面、明かされる過去が壮絶でつらくなる場面もあるのですが、次が気になって止まりませんでした。 タイトルに惹かれて手にした1冊。心に響くお話でした。2016/11/20