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内容説明
機械のように右から左へと言葉を変換していると思われがちな同時通訳者。その裏側では何が起きているのか。異なる言語を行き来することで垣間見える世界をユーモラスに描く<格闘エッセイ>。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
との
32
筆者の同時通訳としての半生を、失敗や教訓を交えながら語っていく。同時通訳の仕事を、日々の研鑽と経験で技を磨きつつ、スピーカーとの一発勝負に挑む地道な「職人的仕事」と位置付ける。◇途中少しだらけたが、全体として本当に面白く、一気に読める。通訳がどんな仕事なのか、その一面を案内するとともに、筆者が体験した「一発勝負」のドラマを紹介してくれる。言語だけでなく、文化的側面やスピーカーの性格、その時の文脈や政治的背景も踏まえて言葉にしてくれる同時通訳者は本当にすごい。あと、時事問題の説明も結構わかりやすいです。2016/11/24
ヨータン
16
どんな仕事でも緊張する場面というのはあるけれど、同時通訳は常に聞き取れなかったらどうしようという恐怖を抱えながら毎回仕事していて、寿命が縮まりそう。そして、聞き取れず訳せなかったら、干されてしまう怖い世界。もちろん大物政治家や芸能人と仕事できるという魅力もあるんだけど。2017/01/07
Nobu A
14
袖川裕美著書初読。分野は違うが奇しくも現在同じ職種に携わっているだけに大変興味深く読了。16年初版、翌年第2版。関西外語大学英米学科教授の著者。学術論文とは別けて平易な言葉で時には諧謔的に実体験を綴っている。「知識に血の通ったと言おうか」等、独特の表現を使用しているところに言葉のプロらしさが滲み出る。「日本人の英語も、cool」と「オバマ大統領にオマージュ」が特に興味深い。「面倒な問題が起きたら通訳のせいにする」は妙に得心。目利きが存在しない中、常に内省することの必要性を痛感。まあ全ての職業でも同様だが。2023/10/18
a*u*a*i*n34
11
同時通訳者のお仕事紹介本かと思って手に取ったのですが、どちらかと言うとこの作者が日頃思っていることがつらつらと書かれている作品です。2017/01/03
ノイス
10
同時通訳の仕事の詳細や何たるかといったことというよりは、同時通訳だからこそ経験したり得心できたりした事柄をエッセイ風に述べている。故に技術的な側面から通訳について学べることはあまり無いものの(より正確に言えば、新書程度で教えられる技術ではないということは伝わる)、通訳が如何に人生経験に富んだ職であるかが語られる。一方で、技術以前に必要な準備段階や仕事中のトラブルにも言及され、決してメリットだけを考慮して目指せる職でもない。また通訳の政治的立ち位置や過去の扱いにも触れ、同通の一通りのことはこの一冊で繙ける。2017/06/16