講談社文芸文庫<br> 天界と地獄

個数:1
紙書籍版価格
¥2,420
  • 電子書籍
  • Reader

講談社文芸文庫
天界と地獄

  • ISBN:9784062903202

ファイル: /

内容説明

「禅」を世界的に広めた屈指の仏教学者、鈴木大拙。若き大拙は滞米中にスウェーデンボルグ(大拙の表記はスエデンボルグ)に衝撃を受け、帰国後まず出版したのが『天界と地獄』であった。霊的世界を天界、精霊界、地獄界に分け詳細に記述した本書は、神秘主義思想のバイブルとしてドストエフスキー、ボルヘスらにも強い影響を与えている。大拙思想の一つの源流を成す重要書。

目次

天界
序言
主は天界の神なること
天界は主の神格によりて成ること
天界における主の神格とは、主に対する愛、及び隣人に対する仁なること
天界は二国土に分るること
三種の天界あること
諸天は無数の団体より成れること
各団体は小形式の天界にして、各天人は極小形式の天界なること
全天界を統一して見るときは、一個人に類すること
諸天界における各団体は一個人に似たること
故に各天人は円満なる人体的形式を具すること
天界の全般とその各分体とを挙げて一個人に類するは主は神的人格なるが故なること
天界一切の事物と人間一切の事物との間に一種の相応あること
天界と地上一切の事物との間に相応あること
天界の太陽のこと
天界における光と熱とのこと
天界における方位のこと
天界における天人の情態変化のこと
天界における時間のこと
天界における表象及び形像のこと
天人著用の衣類のこと
天人の住処及び家庭
天界における空間のこと
天界において会同と交通とを規制する形式のこと
天界における統治制度のこと
天界における礼拝のこと
天界における天人の力のこと
天人の言語のこと
天人と人間との談話のこと
天界における文字のこと
天界の天人が有する証覚のこと
天界における天人の無垢なる情態のこと
天界における平和の情態のこと
天界と人類との和合のこと
聖言によりて天界の人間と和合すること
天界と地獄とは人類より成ること
天界における異教徒、即ち教会外の人のこと
天界における嬰児のこと
天界における達者と愚者とのこと
天界における富者と貧者とのこと
天界における婚姻のこと
天界における天人の職務のこと
天界の悦楽と幸福とのこと
天界は広大無辺なること
精霊界
何をか精霊界と云うこと
人はみな其内分において一個の精霊なること
死後の蘇生及び永遠の生命に入ること
人は死後円満なる人身を有すること
人間は他生においても亦此世にありしときの如き感覚・記憶・想念・情動を有すること、及び死後此世に捨ておくは物質的形骸のみなること
人間死後の生涯は世に在りしときの如きこと
各人の生涯に属せる歓喜は死後之に相応せる歓喜となること
人の死後における情態第一
人の死後における情態第二
人の死後における情態第三、即ち天界に入るものが教誨を受くる情態のこと
何人も制約なき仁慈によりて天界に往くことなきこと-他-

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

加納恭史

23
小桜姫物語の霊界通信を検討したが、世界的にはスウェーデンボルグの「天界と地獄」が最も有名かな。最初に日本に紹介したのが鈴木大拙で、最初の翻訳でした。彼は臨済宗の僧侶だが、英語にも堪能だった。禅の手引きの英語版も書いた。やや神秘主義の色彩があるとか。しかしスウェーデンボルグとなると神秘主義そのものかな。なかなか原典に忠実に訳されている。天界について、神界、霊界を詳しく神と愛の関係、正義、理性、意志の思いを語る。なかなか崇高な内容だな。それにしてもスウェーデンボルグに霊界を語らせたのはマントの男イエスかな。2024/02/04

roughfractus02

10
訳者大拙の妻ベアトリスが神智学徒であり、訳者自身も後にインドで神智学協会に入会したという。本書は、神智学において高い地位を占めるスウェーデンボルグの著作である。明治初期の仏教は、著者の天界、精霊界、地獄界という3区分された他界構造に、仏教との類似性を見た。が、訳者はさらに踏み込んで、この構造が仏教で「娑婆」と呼ばれる現世の日常の近くにある点に注目する(大拙『スエデンボルグ』)。生と死は分離せず、死は一つの変容であり、消滅としての死はない。そのような死生観が、現世と隣接し、相互に関係する他世界を構築する。2021/03/05

無能なガラス屋

6
噂に聞いていたスエーデンボルグ。いかにも日本では受け入れられなさそうな『天界と地獄』というタイトル。しかし、エマソンが代表的人間として取り上げるのもむべなるかなだ。2022/01/05

無能なガラス屋

5
「此所中、天界、精霊の世界、地獄につきて云える所は、霊的真理の知識を喜ばざるものには朦朧たるべし、されど之を喜ぶもの、特に真理の為めに真理に対する情動を有せるもの、即ち真理の故に真理を愛するものには、明瞭なるべし。何となれば人の愛する所はすべて分明にその心中の概念に入るべければなり。」2023/09/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11077826
  • ご注意事項

最近チェックした商品