内容説明
数値化できないものが、大の苦手な超理系人間の桐生蒼太。
そんな彼が、なぜか文芸編集部に異動になって。企画会議、〆切り、売上目標、刊行予定……。
全てが曖昧な世界に苛立ちを隠せない蒼太は、クレーマー作家、熱意大好き上司らを相手に、ベストセラー小説を出すことができるのか。
新人編集者の汗と涙と活字まみれの日常を描いたお仕事小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
250
文藝編集部のお仕事小説。超面白い。感想に紙幅が足りないのは確定なので三つだけ。先ず思うのが、文系理系って言うの好きじゃない。それがあったとしても、その境界はもっと曖昧な物だと思うのよ。後ね、数学って言語なんだなぁと。統計や確率は数値が雄弁に語る様に思うけど、それに慣れてない人にはちゃんと通訳してあげないと怠惰なのかもね。ただ双方が歩み寄って欲しいのう。最後に、本書にも担当さんがいる訳で、どんな心境で編集されていたのでしょう。良く代弁してくれたと思っていたのか、作家風情が分かった様な事をと思っていたのかな。2023/05/21
散文の詞
131
理系の人が主人公だろということはタイトルからもわかるのだが、それほど難しい数式が出てくるわけでもなく(多少はありますけど)、結局仕事なんてこんなものだろうと言う感じで、淡々と話が進んでいく感じです。 作家や編集、カバーのイラストなんかで、本は出来てるっていうのはわかるけど、じゃこの本はどうなの?って思ってしまった。 「熱意」が大事なんですかね、やっっぱり。 2020/09/17
おかむー
76
タイトルどおり理系バリバリの主人公・桐生が文芸編集者となり、迷いと苦難を経て一発逆転なお仕事小説。あらすじは面白そうなのだけれど、とにかく桐生をはじめ登場人物が魅力不足。感性第一のわからずや上司、楽天家でエネルギッシュな親友、ひとつの小説を人生の支えとする同僚女子と設定はよさげなのに、桐生の理系思考が壁になるというか、どこか論理的でないひとびとを見下している印象すら受けて終始モヤモヤ。終盤には桐生もそれなりにカドが取れるけれど、中盤までが欝々としすぎでマイナスな感触のまま終了。『可もなし不可もなし』2017/06/24
ポップノア♪@9/4に退院しました。
70
超理系人間の桐生蒼太は「かがく文庫編集部」から文芸編集部に異動になる。周りは当然文系の人ばかり。特に上司の曾根崎部長とは全く反りが合わない。隣席の気になる後輩・鴨宮凛とも言い争いになってしまう始末。唯一の同類・嵐田とミリオンセラーを出すべく同盟を結成する…。主人公の性格が特異なため少々もどかしいですが、編集の苦労が知れますし、ライバル社の下衆な進藤に一泡吹かせる場面は痛快でした。他とは違った視点で旧態依然の業界に立ち向かうお仕事小説ですが、向井先生の作品の割には数学濃度は低めで読み易かったです。2018/12/11
坂城 弥生
62
出版社のお仕事本。との触れ込みを読んで手に取りました。文系理系差別みたいなものがすごく強く感じられた。上司もやな人だけど、桐生も決して親しみやすい人じゃなかっなよ。むしろ「自分は正しい」って考えから抜け出せてない感じ。ちょっと傲慢さを感じた。そこに気づけるエピソードがあったらもっと面白かったかも。2021/01/15