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内容説明
『1Q84』にもその名が登場する日本でもっとも有名な新人文学賞・芥川賞が、今や世界的作家となった村上春樹に授賞しなかったのはなぜなのか。一九七九年『風の歌を聴け』、八〇年『一九七三年のピンボール』で候補になったものの、その評価は「外国翻訳小説の読み過ぎ」など散々な有様。群像新人文学賞を春樹に与えた吉行淳之介も、芥川賞では「もう一作読まないと、心細い」と弱腰の姿勢を見せている。いったい選考会で何があったのか。そもそも芥川賞とは何なのか。気鋭の文芸評論家が描き出す日本の文学の内実と未来。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
21
☆☆☆★ 芥川賞関連で続けて読書。文芸批評というと大上段に構えるものが多いが、この書は新鮮な切り口によって、興味深く読めた。村上春樹は芥川賞の受賞の有無に関わらず、読まれてしかるべき作家だが、子供を持たない「父性」という観点から見るのは面白かったし、夏目漱石の坊っちゃんが「年の相当離れた」者同士の遠距離恋愛という見方も更に面白かった。2013/11/30
おおにし
17
P.97「芥川賞が村上春樹に与えられなかったのは、一義的には、村上春樹の携えるアメリカとの距離感が彼らにとって受けいれがたかったからであるけど、つまるところそれは、彼らとアメリカ=父との関係の問題であり、村上春樹と「父」との距離の問題なのだ、と。」戦後日本文学が”強い父性”アメリカを超克できず迷走している中、村上は逆に”アメリカ化した日本人”に擬態することで呪縛から逃れようとしたが、当時の文壇はその企みを評価できなかった。村上は3作目から長編へ移行し、芥川賞レースから離脱し世界の村上春樹となったのだった。2022/09/27
里馬
13
面白くて怖い。僕は「ずっと批評なんてばからしい、偉そうに何を語ってたって、実際に創りだしている作家の方が偉いでしょ。なんでそんなに矢鱈と貶すの?」と馬鹿にして偉そうに貶していた。でも実際にこういった批評文を食べていけば、自分が如何に読めていないのかが浮き彫りになるし、端的に面白読ませられる。悔しいが、負けました。2011/02/21
ぺぱごじら
12
村上春樹を語りながら、戦後日本が「目を逸らしているもの」を炙り出す試みの一冊。パーツを取り上げれば、単章ごとは読み応えがあり、特に前半の村上が取り上げられた芥川賞選考過程における、当時の日本文壇を代表する歴々のコメントなどは緊張感を感じることができますし、「走れメロス」に対する、我々の『誤読』を指摘するくだりにもユーモアを感じる事ができます。が、全体の繋がりは若干弱めと感じましたし、結論付け(結論には然程異論はありません)が些か強引に感じたのも事実。「坊っちゃん」新(珍)解釈も楽しいですけどね。コメへ→2010/12/22
NICK
9
村上春樹論を読もうと思って手にとったが、実際のところ、芥川賞を中心にした文学史、あるいは日本の文学環境論ということが読み進めるうちにわかった。戦後日本文学における父としてのアメリカ問題なんかは批評好きにはほとんど常識であろうけど、個人的には新たに知ることだった。メロス論の夕暮れ・義務教育・感動の共犯的メカニズムには大いに考えさせられた。社会の形態そのものが我々の感動の閾値を規定しているというのは考えてみると恐ろしいことのように思える。2011/09/16
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