文春文庫<br> あしあと

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文春文庫
あしあと

  • 著者名:勝目梓
  • 価格 ¥784(本体¥713)
  • 文藝春秋(2016/10発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167907129

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内容説明

彼方に封じ込めていた記憶の封印が解かれるとき、妖しく危うい官能の扉が開く。
夢とも現実ともつかぬ時空を往来しながら「生」と「性」を描く、円熟の傑作十篇。

風来坊だった父の死後、家族に届いた一通の手紙。
ともに暮らした女たちが愛した二体の人形。
九十二歳、養護施設で暮らす老女にたったひとつ残された鮮やかな記憶――。
「青春」と「老い」が渾然一体となったとき、妖しく危うい官能の物語の幕が開く。
最後の文士・勝目梓が描く生と性。熟達の傑作短篇十篇。
解説・逢坂剛

【目次】
「万年筆」
「記憶」
「ひとつだけ」
「人形の恋」
「秘儀」
「橋」
「一夜」
「影」
「封印」
「あしあと」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

94
いま、読みたい小説が単行本と文庫であったら、躊躇わず文庫をとる。軽くて読み易く、散歩の鞄にも収まるから…。さて、今作は5年前に単行本で読了して、文庫化で読み返した。一篇が30頁の短篇集なのに中身は濃い、そして面白い。著者の昔の作品と比べると性描写の官能度合いは薄めだが、9編どれも話の筋がしっかりして読み応えがある。「まさにおとなの読む小説…」(逢坂剛氏の解説)に同意。女目線でオンナの情念を、オトコの作家が描いた佳作の一冊です。2019/05/05

donky

3
「まさに大人の読む小説」という逢坂剛の書評通り。官能エンタメ小説家の珠玉の作品集です。純文学を目指しながら、自活の必要と自らの自由への嗜好が直木賞作家としての道を歩ませたのか。『小説家』を読んでみたい。中上健次の破壊力を知った筆者にとって、それでも性の世界の奔放は追い続けたいテーマだったと思わせてくれます。老いてますます哀惜やまない情愛の世界への慈しみが美しく妖しい。いずれも40枚程度の短編ながら、多様な生と性が織りなす万華鏡。いずれも佳品です。技巧的には「万年筆」のめくるめく構想が好みです。2016/11/05

すうさん

2
若い頃の勝目梓と全く違う。ハードバイオレンス小説をイメージしていたが、この本は違っていた。短編小説だが人生をじっくり味わうような物語があって、ちょうど私の年代がしっくりくるのだと思う。漫画の「黄昏流星群」を小説で読んでいるみたい。ハードな描写を得意としてきた勝目氏の恋愛部分などはもう少しじっくり書いてほしかった。結構クールな描写の本書は、帯に書いてある「官能小説」には全く当たらないと思う。まあ僕にとっては花房観音も石田衣良なども、ある意味同じジャンルだと思っている。それだったら僕は「官能小説」大好きだ。2018/12/06

黒い森会長

1
80歳を超えるバイオレンスノベルの巨匠の短編集。裏表紙にもあるように、青春と老いが、記憶や夢を媒介につながり、まじりあう。どの短編も性を背景にもつところが、この作者らしいところか。お気に入りは「ひとつだけ」と「万年筆」。2016/11/17

CEJZ_

1
1P16行。勝目梓の本は読んだことがなく、一冊読んでみようと文庫新刊を購入。ベテランというか大御所というか、それこそわたしが子どもの頃から、本屋には勝目梓の本がずらりと並んでいたように思う。それらはバイオレンスロマンで、背表紙は黒だったように思う。この短編集は、どれも等量、均一に面白かった。戦時中の設定や奇縁など、さながら10曲から成るLPアルバムか。若い時とはちがうのだろうが、傘寿を過ぎても精力的に書き続ける境地はどんなものか。解説は逢坂剛で、著者に敬意を表し文士と讃えている。2016/11/02

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