内容説明
「自分がなにをやってのけたのか、わかってる? 音楽産業を殺したんだよ!」田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レコード会社のCEO。CDが売れない時代を作った張本人たちの強欲と悪知恵、才能と友情の物語がいま明らかになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
94
誰が音楽をタダにしたタイトルに惹かれ読んでみた。面白いミステリーを読んでいるようなノンフィクションリークする側とされる側ほんといろんなやつがいる。2017/09/29
harass
74
大手レコード会社の辣腕幹部と海賊版アップローダーたちとMP3開発者を中心に描く様変わりしていく音楽業界のノンフィクション。リリース前のCDを入手してアップを競うWaresたちの群像と捜査員の執念の追跡。IRCやNapsterやBitTorrentなどネット普及からのアングラ文化が少しだが描かれている。また、激変していく音楽業界で第一線を長年勤めたCEOの話が特に興味深かった。今ではCDが売れないのは確かだが、ライセンス収入がそれを上回っているのだという。やや平坦な書き方だが内容が興味深く、一気に読めた。2017/05/25
『よ♪』
73
スゴい本だ。ノンフィクション、所謂ビジネス本だが、そこらの小説より遥かに面白い。今、音楽はタダで手に入る。CDの時代には3千円出して購入、或いはレンタルして録音するものだった。それが何故、タダになった?mp3開発者ら『技術者』の奮闘、『巨大音楽レーベルCEO』の手上で操られる音楽産業、そして新譜を盗み、リークし、シェアする『海賊』グループ達の暗躍。3つのストーリーが交差しひとつに繋がる。『シェア』が暗黙の了解から合法なビジネスに変化していく様が描かれる。そして使い捨ての音楽で溢れ、音楽自体が衰退していく。2018/03/18
R
49
1990年代後半から、2000年代前半までの音楽業界の変遷を描いた本でした。CDというメディアが滅びていく様と、それを引き起こしたMP3というフォーマット、そして、そのプレイヤーについての特許戦争や、Warezとしてリリース前に出回る新譜のMP3がどうやって放流されていたかが詳しく調べられていて、とても面白かったです。こんな時期の音楽業界で、エグゼクティブとしていきぬけた男の話も面白く、経済文化史として読めました。2017/04/26
kei-zu
47
テクノロジーの進歩、音楽業過の内幕、悪意のない「犯罪者」たちとそれを追う捜査陣。おもしろかった! MP3って、その名称からMP2が改善された規格かと思ったら違うのですね。同時に認証されたものの、当初は冷遇のための「3」だったとは。 社会の複雑化と係わる人間の多さは、何がどう転がっていくかを不透明なものにします。考えさせられる内容ですが、読み物としても抜群におもしろい。2021/10/31