内容説明
数もなく色名もない、神の概念もない、ピンカーの「言語本能」説にも収まらない! 我々の普遍幻想を揺さぶるピダハン族の世界を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
132
言語学、文化人類学いずれの領域でも驚くような報告。アマゾンの支流域マイシ川に暮らす人口400人あまりの先住民族ピダハンの人々は、狩猟採集のみを生活の糧として暮らしている。彼らに比べれば、ヤノマミでさえも文明との接点は多いと思える。ピダハンの言語には、挨拶言葉も、数の概念も、右左の概念も、色を表す言葉もない。音素は、わずかに11。高低の声調はある。例えば、「おやすみ」の挨拶の代りには「眠るなよ。ヘビがいるから」と告げる。ワニ、ピラニア、電気ウナギ、アナコンダ、ジャガー、マラリア―これが彼らの住む環境だ。2012/06/15
コットン
84
ブラジル・アマゾンの少数民族ピダハンを長期間に渡って(著者の家族を伴っての)密着ルポと一般向けに言語や民俗学的研究の一端が紹介されている。とにかく母音が三つ、子音が八つしかない(音の高低で意味が変わる音調言語はある)というピダハン語と付き合うのは厄介なことだったろうと想像がつく。社会的には穏やかな民族だが2〜3歳の子供に対しても大人と同じ様に見なされ自己責任が要求される点や死に対する考え方など我々と大きく異なる点もある。2023/09/03
seacalf
81
あらすじや訳者あとがきで心を掴まれたら四の五の言わずに読むのが吉。後半の言語学的記述は著者の独自論が少々冗長に感じるが(その部分だって言語学に興味がなくともかなり読みやすくはある。相当長いけど)、ユニークなエピソードが満載で、とにかく面白いことは間違いない。よく笑い、これほど幸せそうな部族を他に知らないと著者に言わしめるピダハン族。伝道師である著者が彼らに影響を受けて信仰を捨てたというのだから凄い話だ。我々の生活と簡単に比較することはできないが、現代社会の欠落したものを思い出すヒントもあるような気がした。2018/07/19
1959のコールマン
72
☆5。内容は文句なし。面白い。面白すぎるので何回も再読した。自分の常識が足もとから崩れ落ちる感覚に十二分に浸れる。本書は3部構成になっていて、第一部 生活、第二部 言語、第三部 結び。このうち第二部の言語だけはちょっと読むのに苦労するかも知れないが、全体的に大いに楽しめる。まあ、他人事だからそう簡単に言えるのかも知れない。キリスト教伝道の為にこの地にやってきた著者にとっては天地がひっくり返るような連続だっただろう。よく正気でいられたものだ(最終的に無神論者になるけど)。2019/09/12
藤月はな(灯れ松明の火)
71
児童サービス論の授業でお勧めされた本。「言語によって人は世界を認識することができる」とサピア&ウォーフは言った。しかし、ピダハンの場合、言語も数字や時の概念、災害を退けようとする儀式がない。そして自分で実際、見て経験したことしか信じない。しかし、彼らは自分の言動に対し、自分で責任を取り、物事を「あるべきもの」として受け止める。故に彼らはとても幸福でいられる。熱さで川に飛び込む程の重度のマラリアに罹っても「彼らのため」と宣教活動しようとしたのにピダハンの生活を見ていて宗教を捨てたという結末は納得のいく皮肉だ2014/12/16
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