内容説明
古代インドで覚りを開き、仏教を興したブッダ。中世日本で、念仏往生を説いた法然。それまでの常識を覆した独創的な教えは、いまだ色褪せることはない。ともに動乱の時代に生まれ、苦難にも負けず、己の道を突き進んだブッダと法然。インド仏教の研究者にして浄土宗の僧侶が、偉大な“開拓者”を徹底比較。仏教の本質と凄みがよりクリアに見えてくる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nizimasu
3
仏教の本を読んでいるとどんどんブッダそのものよりも教えを別の人間が変更してしまっている気がする。そのある種の極みが他力を志向する浄土思想の流れだ。その中でも法然に注目するのが著者。末法の時代にラジカルな思想を打ち出し流刑になりつつもその教えを一般の庶民に広めていった部分は明治以降の親鸞の物語化を比べても遜色ない。ただやっぱり仏教は師を越えていくことで布教するという宿命がインド世界においては拡散してしまうのだな2016/10/04
coldsurgeon
2
ブッダと法然を比較することにより、その共通点に潜む宗教上の意義が明らかになり、異なる点を示すことにより、宗教が今後どのようにあるべきかを提示する。人にとって自分ほど可愛いものはない。自分を大切にする気持ちは重要だが、他者を踏み台にして自分だけがとなると、問題だ。自己に関する執着・我執と、我所執という所有意識に捕らわれるなと仏教は教えるが、組織を束ねるものが心がけることであろう。さもないと、自己を相対化できず、時期相応という変わらないために変わらなくてはいけないという行動を取ることができなくなる。良書である2017/09/17
ヤスタカ
2
ブッダと法然 郷土岡山出身の法然上人に興味を持ち読みました。既存の考え方からパラダイムシフトをなし得た両者についてわかりやすく解説されている。早速、誕生寺にお参りしてみます。2017/01/18
のぞみ
2
0->1の苦労に耐えうる人は、常に尊敬に値する。2016/11/08
カナトキ
1
付録部分を読めば十分という印象。本編は付録で簡潔に紹介されるブッダと法然の解説を、著者の感想を交えて説明しなおしているだけに感じる。ブッダと法然が決して身分や立場を問わない平等性を重んじていたことを伝えながら、著者自身が法然への尊敬が強いが故とは言え、親鸞と比較して法然の評価が低いと不満を漏らす部分は呆れてしまう。2020/05/19