内容説明
2007年、夏。甲子園は奇跡に揺れた。前年県大会初戦敗退の公立校が、全国制覇を成し遂げたのだ。その名は佐賀北。スター選手を一人も抱えることなく、宇治山田商、前橋商、帝京、広陵など常連強豪校を次々と破った裏には、いかなる練習と秘策があったのか。対戦校の監督たちが体験した怖さ、監督・選手間で交された日誌の存在など、綿密な取材から、最大の逆転劇が起きた必然に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
110
一気に読んでしまった。 私も佐賀出身で野球やってました。この本の中に二人の先輩も登場します(あんまり書くと個人情報が・・・)この約10年前の佐賀商、この本で語られてる佐賀北も佐賀人の誇りです。 2019/07/22
ばりぼー
55
2007年夏、どこにでもありそうな公立の普通高校が、帝京・広陵などの常連強豪校を撃破し、全国制覇を成し遂げた軌跡を追ったドキュメント。当時特待生制度が物議を醸していたので、野球に特化した私学を文武両道の公立進学校が倒す構図は、日本人の判官贔屓をくすぐり、甲子園が佐賀北のホームと化したのをよく覚えています。ただ、佐賀北の百崎監督は「全国制覇」の覚悟と準備をして真剣に狙っていたことは確かで、各自が自分の役割に徹すれば、組織は巨大な力を発揮する見事な成功例でしょう。弱小チームが見習うべき点が多々ありました。2015/07/17
しょーくん@本棚再編中
42
★★★★★★★☆☆☆がばい旋風から7年が経つんですねぇ。高校野球が好きな人はもちろんのこと、指導者・管理職の方々にもおすすめしたい一冊です。2014/08/25
ぺぱごじら
27
『公立高校の全国制覇話』というには、微笑ましい美談だけではない、監督と生徒の緊張感溢れる関係が読み取れた。筆致は決してセンセーショナルでも露悪的でもなく、とことん誠実で、だからこそここまで迫れるのだろう。高校野球は『競技なのか教育なのか見世物なのか』という問いは自分の中でも年々強くなり、関わる『主催・観客・指導者・選手』の都合や思いが複雑で、時に『世の中の不条理を教育するためにやってるのか』と皮肉りたくなるが、グラウンドレベルに近いほど『努力の対価たる勝利』に純粋であるのは間違いない。2013-1182013/08/25
ひらけん
26
なんで、高校野球は筋書きのないドラマと言われるか。その答えはこの本に集約されている気がするな。開幕戦に勝ち、引き分け再試合を経験し、次々と強豪校をなぎ倒して、決勝戦での逆転満塁本塁打。高校野球は好きやから昔からずっと見ているけど、この時の佐賀北は神がかっていた。それだけの練習と努力の積み重ねがその奇跡を呼び込んだのだろう。でも、この本を読んでなかったら優勝を成し遂げた奇跡の裏側を知る事はなかったよ。高校野球に番狂わせなんかない。公立校とか私立校とか関係ない。必死に努力する人を神様が見てくれているのだから。2016/12/11