内容説明
ギリシャ以来、物質の最小の構成単位への人類の探求は、
原子核とそれをまわる電子というモデルまでいきつく。
しかし、1912年のある日、
物理学者のニールス・ボーアは気がつく。
なぜ、電子は原子核に墜落しないのか?
まったく新しい物理学が誕生した瞬間だった。
人類の極小を探る旅は、加速器というものさしを得て進歩する。
それは宇宙の始まりを解き明かす旅になった。
アメリカのフェルミ研究所で加速器を使い、
極小の世界を追い求めたノーベル賞物理学者が、
この新しい物理学の誕生から現在そして未来を綴る
【目次】
第一章 宇宙の始まりを探る旅
第二章 その時、ニュートン物理学は崩れた
第三章 世界は右巻きか左巻きか
第四章 相対性理論の 合法的な抜け道
第五章 初めに質量あれ
第六章 何もないところになぜ何かが生まれたのか?
第七章 星が生まれた痕跡
第八章 加速器は語る
第九章 ヒッグス粒子を超えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
修一朗
66
青木薫さん本がすっかりお気に入りになったのでこれを。これは実験物理学者レオン・レーダーマンの素粒子物理の本だ。クォークとかミューオンとか断片的に聞きかじっていた素粒子を一覧表で見たのは初めてだ。素粒子ってこんなに複雑なのかぁ,とても一読で理解できませんわ。対称性(L/Rカイラリティ)に話が及ぶともうついていけず,飛ばし読み。まずは質量がないのに運動量を持ちエネルギーを持つ,という光子の振る舞いを理解するのが素粒子物理の第一歩,ということは分かりました。こっちを先読んでしまった。次,「宇宙創成」へ。。2019/06/04
tom
18
2回読む。1回目は途中で眠る。2回目は、目を開き、半ば過ぎまで快調に読み続ける。でも、スピン問題が出てきたあたりから理解が追い付かなくなり、ゲージ対称性が出てきてからはワケワカメノコンコンチキ。この本はヒッグス粒子の解説を目的にしたもの。ヒッグス粒子が作るヒッグス場は空間を満たしていて、そのことが素粒子に質量を与えていると書いているみたい。だから真空にはエネルギーがあふれている・・・らしい。訳わからぬ。でもまあ、そういうことらしい。ちゃんと理解できたら、楽しいだろうなあとは思う。2024/05/16
みんく
16
市民大学講座の予習のために。外国人研究者の日本語訳本で、読む前はどこまで理解できるか不安だったが、要所要所の図説がとても親切だったし、訳者の青木薫さんのおかげもあるのかも。知識ゼロから読み始めたわりに、たくさんのことが勉強になったし、なにより最後までおもしろく読めた!しかし理解度は半分ほどか。ヒッグス粒子が必要性はわかったけれど、「ヒッグス粒子と質量との関係」は理解できず・・・。「弱い力」と「弱荷」「パリティの破れ」「ゲージ対称性」この辺のさらなる理解が必要。『対称性ー』『「標準模型」の宇宙』読まなきゃ。2023/09/10
宇宙
16
ニュートリノに、ニューオン、グルーオン。クォークにヒッグス機構。読んでわかったつもりになっても後ですぐごっちゃになってしまう。そういうところが本書はよく整理されている。新しい本で、最近の話題に強い本。2019/11/20
kthyk
11
レーダーマンは理論家というより実験家、アメリカのフェルミ国立加速器研究所の二代目所長。量子というより素粒子物理学の重鎮だ。従って、今まで数多く読んできた量子物理学の理論家とは異なり、その内容は見えない世界を数学で捉えようするより、超現実的。望遠鏡ではなく最強の「顕微鏡」により素粒子の実体を捉え、最新の科学技術を生みだそうとするトップランナーだ。クリーンエネルギーや放射性廃棄物を出さずの発電、あるいは従来の廃棄物処理テクノロジーを目指すプロジェクトXの推進。フイッグス場、ニュートリノ、ミュー粒子解説は圧巻。2024/03/08