水の精(ウンディーネ)

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水の精(ウンディーネ)

  • 著者名:フケー/識名章喜
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 光文社(2016/09発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334753344

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内容説明

妖しい森で道に迷った騎士フルトブラントは、湖の岸辺に立つ一軒の漁師小屋にたどり着く。そこで出会ったのは、可憐にして妖艶、無邪気で気まぐれな美少女ウンディーネだった。恋に落ちた二人は結婚式をあげるが……。のちの作家たちに多大な影響を与えたドイツ幻想文学の最高傑作を、瑞々しい新訳で。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

99
童話のような世界が広がっていました。人と水の精の切ない恋が突き刺さります。不思議な風景に溶け込むように佇む妖艶な水の精・ウンディーネ。愛した男性と結ばれたことで得た魂は喜びと哀しみの感情を呼び覚ましたのではないでしょうか。儚くて美しくて辛い愛。それは強さと儚さを伴っているようでした。清らかな愛でありながら哀しみを湛えているのは妖精と人間だからだと思います。ロマンのような美しさがあると同時に痛みを感じる物語でした。2016/08/03

アナーキー靴下

93
昔、美しい挿画の大判本で読み、ストーリーは知っていたが、本作の名を目にする機会が多く、改めて読み直した。悲劇的結末で終わる、水の精と人間の騎士の恋物語。ウンディーネが語る「魂(こころ)」という概念に惹き付けられる。もともとは動物のように魂など持たない精霊が、人間と愛を交わすことで人間の魂を得、愛し悩むことができるようになるという。彼女からは魂に従う清廉さ、善なる精神を感じる一方、もともと魂を持っているはずの人間たちは魂から離れてゆくように見える。魂の声を無視させるものはいったい何なのだろう。2022/05/30

アキ

88
映画「水を抱く女」(原題 Undine)を観た。原作の水の精(ウンディーネ)はフケーが1811年に書いた。古代ギリシャ以来、中世錬金術の四大精霊(水・火・風・地の精)の内、水の精と一緒になった人間が不実を働くと、死をもって復讐されるという「妖精の書」を参考にしている。プロイセン王国時代の騎士とウンディーネとベルタルダの黒い谷で繰り広げられる愛憎劇はドナウ川も擬人化されて妖しげで摩訶不思議な世界。オペラにもなり泉鏡花にも通底するドイツ幻想文学。映画がなければ手に取らなかった小説。もちろん映画も不思議な世界。2021/04/19

へくとぱすかる

65
かなり昔に岩波文庫版を読んだが、ですます調の新訳の文体の方が、この作品には似合うような気がする。美しく哀しい物語の、この哀しさが後から効いてくるような気がしてならない。200年前の古典だが、男の心の弱さは今でも古びないテーマ。無邪気で純粋な人を裏切ることは、どんなに恐ろしく残酷なことだろう。それでも騎士を愛したウンディーネの涙の哀しさはどこまでも深い。2016/09/26

Vakira

62
フィフスエレメント。精は水、風、地、火にある。そして生き物に精があるのが人間。人間は5番目の精。水妖伝。古代より水と人間の物語は沢山ある。この物語は200年程前のフケーの作品。この作品によって現代に残る水妖伝は確立された。これを読んだアンデルセンは「人魚姫」にアレンジ。その他に色々とこれから派生された物語が存在する。異精でも精を保有して入れば婚礼は可能。水の精と人間だって可能だ。但し、愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に還らなければならない。こんな定めがあるから物語は面白い。王道の古典悲劇でした。2021/08/07

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