文春文庫<br> 蒼ざめた馬を見よ

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文春文庫
蒼ざめた馬を見よ

  • 著者名:五木寛之
  • 価格 ¥611(本体¥556)
  • 文藝春秋(2016/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167100339

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内容説明

ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。原稿の入手を命じられた
外信部記者の鷹野は、新聞社を離れ、身分を偽ってソ連に潜入する。
運よく手に入った小説は全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立つ。
ところが、その裏には驚くべき陰謀があった! --「蒼ざめた馬を見よ」

東京で神経をすり減らした男は、休暇をとり、友人を頼ってモスクワへ飛んだ。
そこで出会ったウクライナ出身の美女の過去とは。--「赤い広場の女」

バカンスのためブルガリアの首都ソフィアを訪れた商社のパリ駐在員は、
妙な雰囲気を漂わせる日本人夫妻と知り合う。その妻に手を出した男が
寝物語で聞いた二人の関係。--「バルカンの星の下に」

愛する妻、良縁の決まった娘、大学進学を控えた息子に囲まれ、幸せな
生活を送る地方大学の助教授、慎吾。教授昇進も目前に控えていた、
ある日、不気味な電話がかかってきた。
「エラブカから何を持って帰ってきた?」
記憶の深部にきざまれた二十年前の約束がよみがえる。--「夜の斧」

Q商業高校山岳部のパーティー6人は北陸二県の県境で墜落事故を
目撃する。その直後、吹雪で立往生したため、顧問の黒木は救助を求めて
一人、近くの集落を目指すが・・・。--「天使の墓場」

直木賞受賞作の表題作をはじめ、いまなお魅力を失わない初期の5編を
おさめた代表的作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

347
初めて読んだのは、高校1年生の時だった。私はこの小説の向こうに五木を通してロシアを望見していたのだった。そして、早稲田の露文に痛切な憧れを抱いていたのである。ここに引用されていた「われ蒼ざめた馬を見たり。その馬にまたがれる者の名を死と言う。冥府その後にしたがえり」というロープシンの言葉に、文学の持つ力を感じ、全身に震えのような感覚を覚えていたのだった。ここからは、レールモントフやドストエフスキーまではほんの1歩だったのである。実に久しぶりに再読したが、あの感覚が全的に蘇ることはなかった。そこにはこれまで⇒2024/09/15

kaizen@名古屋de朝活読書会

173
【直木賞】2014年オリンピックのあったソチ。ソチで日本人翻訳家とロシア人作家が出会う。日本人翻訳家が亡くなった後、新聞記者が出版の密命を受けてロシアに飛ぶ。ユダヤ系ロシア人の物語。事件の裏にもっと暗い、黒い話がうごめく。<おれはいったい何者だろう?><焼き日ですよう>。芥川賞でもよかったかもしれない。2014/03/02

ehirano1

113
「バルカンの星の下に」は何とも切なかったのですが、宗谷季子が矢島に何か言おうとして言わなかった幾つかのシーンが気になってます。何を言おうとしていたのかなぁ・・・、それこそ同性である女性にしかわからないことなのかも、と思うのですが、これを書いたのは男性なんですよね。つーことは・・・・・。2021/02/24

優希

106
第56回直木賞を含む短編集です。60年代という時代を感じますが、面白かったです。高度成長期の日本とソ連、東西冷戦の背景を色濃く反映しているのが新鮮でした。謎めいた顔を追い続けることで見えてくる裏に隠された真実。異国の雰囲気と短編が丁度良い絡み具合だと思います。読み応えのある作品でした。ロシア文学にもより興味が湧きます。2016/10/09

遥かなる想い

103
読んでいるうちに、奇妙な懐かしさを覚えていた。冷戦の時代、ソ連に対して抱いていた不気味な感情。スパイ小説などもすべて冷戦を前提にしていた。本作で取り上げられたソ連の未発表作品に関わる話も、抑圧された作家群の時代背景・政治背景を知って初めて深みを帯びてくるのだが・・ 2010/08/22

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