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内容説明
度重なる震災は、日本社会をどのようにつくり替えてきたのだろうか。災害の歴史から、救済と支援、復旧・復興の技術的進展に焦点を当て、古代・中世から近代までの象徴的な事例を取り上げて具体的に分析。社会が持つ災害への対応力の歴史的変遷をたどる。東日本大震災の衝撃から立ち直りかけようとする現在の被災地の現実を見据えつつ、災害の社会史研究に長く従事してきた著者ならではの視点から、歴史災害の復旧・復興の歩みと、時代を超えて人々が抱えてきた問題を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
66
渾身の作である。貞観地震から関東大震災に至るまでの震災を、データを中心に記述・分析しており、史料的価値がとても高い。当時の行政の対応までが盛り込まれており、大変興味深く読んだ。先日も鳥取で大地震があったばかり。日本で暮らす以上、忘れられない、忘れてはいけない知識の数々。2016/10/23
ゆう。
32
古代から近代にかけての震災史を丁寧におった内容です。歴史的に震災のあと、どのように復旧過程を得てきたのかを学ぶことができました。そして、近現代に入ってから、復旧から復興へと震災後の歩みが変化したことが指摘されていました。では何のための復興か。それは現代に生きる私たちに鋭く問われているようにも思いました。2019/05/26
kawasaki
6
2016年熊本地震後の刊。古代~近代のいくつかの災害に着目、行政(朝廷・幕府・政府)はどう対応したか、社会はどう受け止めたかを取り上げる。例えば関東大震災では、直後に避難者の「尋ね人」を支援するボランティアや、復興に向けて避難者を把握するべく行った調査、災後の追悼・記念の問題など。よく言えば視野を広げる内容(悪く言えば雑多)で、『勝山記』にみる中世の災害、災害対策事業としての印旛沼開発、江戸のメディア事情や被災状況の実測地図化も触れられていてそれぞれ大変興味深いのだが、タイトルがうまく内容を示せてない感。2021/01/27
ともがら
5
これだけの労作を新書で読めるなんて…最初知ったときは専門書で随分高価な本だと思ってた いやあすごく濃い内容で堪能した 今日発売の週刊文春「新聞不信」コーナーで「日本のお役人は記録を残したがらないようだ」との国立公文書館前館長氏のことばがある 本書では冒頭近くに「日本は六国史以来の記録の国でもある」とある 災害に対することだけでも、今でもそうあってほしい2016/12/15
Olive
1
立派な研究者なのでしょうが、時々主語が抜けるので何のことを言っているのかよくわからないところがある。読みにくい本だったが、詳細に調べて調べ上げた内容だ。比較的安泰と言われた江戸時代、いやいや、地震に噴火、冷害に飢饉、自然災害を乗り越える歴史(幕府と民との復興政策)の中で、民衆による権利と義務の芽生え、民主政治の根っこは育っていったのではないか。江戸幕府と大名、幕領と私領のせめぎあいの詳細な資料は、遺産となりもしかしたら今を生きる私達の意識の根となっているかもしれない。歴史を見ることは今を見ることなんだな。2020/02/08