内容説明
本書の初版が《創元医学新書》の一冊として刊行されたのは1975年。その後、精神医学の動向は症状論が中心となり、ますますそれに拍車がかかっていった。しかし本書では、症状を患者から切り離して見るのではなく、心の病を患者という一人の人間全体から理解しようとする姿勢が貫かれている。病気の原因も、対応の仕方も、あくまでも患者その人に寄り添って考えようとする人間的な理解のありようは、精神医学のみならず今日の科学一般への鋭い批判ともなることだろう。解説は、精神科医の原田憲一氏。
感想・レビュー
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erie
3
草間彌生の小説・自伝から西丸四方へ。これはものすごく面白かった。草間彌生に加え、現代の精神医学・臨床心理学の基礎的なもの、日本史的には島崎藤村、私宅監置の実況等を読んでおくとなお楽しめるかもしれない。それにしても、改めて信州は魅力的な地である。現代に照らすとどうかなと思う記述もまああるが、偏見をなくそうという意図が一貫しているのはよく伝わってくるし、かなり進んだ鋭い目を持っている方だと思う。博覧強記過ぎて、インドの経典を解説されると舌を巻くほかなかった。結構冗談も上手い人で何度も笑ってしまった。2018/10/02
いわさきさん
1
1975年の本が底本だそうで、内容的にも古かったりするところもあるけれど、書きっぷりが面白くてやめられずに読んでしまった。こういう人に見てもらいたいですね。 → https://t.co/9TYaLVS3ax #bookmeter