内容説明
古着屋の聖地、東京は下北沢。上京したての僕がべっこう飴の匂いに誘われて迷い込んだのは、路地の奥に佇む古着屋、ヌックラ堂。その店のドアには【ワケあり古着、買い取ります。】と綴られた小さな黒板が吊るされていた。古着を愛する、猫背&マッシュボブの女店主、かの子さん。看板三毛猫のコネ。そして潔癖症だけど古着だけは大丈夫な僕は、今日もワケあり古着を持ち込むお客さんたちをお迎えする。スニーカー、リバーシブルダウンベスト、レザートートバッグ、パーカー……。持ち主の想いがつまった不思議な古着たちとの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
42
古着をめぐるファンタジー。独特の文章のテンポがあって、このトーンがぴったりはまる読者なら楽しく読めると思う。2016/09/28
ヴァーノン
8
下北沢の近くに住んでいることもあり、タイトルに惹かれて図書館で借りてみました。 設定は潔癖症なのに古着屋で働く主人公と、ちょっと変わった女店主が訳ありなユーズド品を買い取り、その品を使っていた人とその過去に触れていくもので、訳あり品を買い取り始めた理由も後半で明らかに。 サクッと読めますが、一方でストーリーの深みはあまりなく、若干物足りないかなさを感じました。2017/07/01
育音
2
下北沢は良くぶらついた街。 確かに古着屋さんは多かった。 行くと微かにお香の香りがして。 ヌックラ堂はそんな下北にある廃墟の様な古着屋さん。 お香の香りとべっこう飴の香りがするキノコ頭の女の子が店主。 そこはワケありの古着を買い取ってくれる、何故、ワケあり古着か、それは安く買いたたけるから。 でも他にも古いワケが隠されていた事が最終話で判明、それは店主の悲しい過去に関係します。 でも、悲しい話じゃないですよ。 古着の残留思念の様なものに振り回されたりして、その内容がほろっとくるハートフルな話ですよ。2020/01/27
takoing
2
下北沢に古着屋さんがたくさんある、と言うのは聞いてはいました。 でも一応アレルギー持ちですから(;^^)、めったに行きません。 その昔、原宿で入ったことがあったのですが、くしゃみでましたっけ。 方向音痴の彼が出会った古着屋さん。クセのある女店主・・・ 不思議な設定ですし、古着が持つ「ワケ」も不思議、かなぁ。 そもそも、「潔癖症なのに古着大丈夫」って彼の設定も不思議よね。 好きな人にキスする寸前に「うっ」と思ってしまうワケなんですよ。 それが誰が着たのか分からない古着は平気、ってねぇ。2017/01/26
真林
1
潔癖症だが古着好きなコギトと、訳あり古着も取り扱う下北沢の古着屋ヌックラ堂を営む女主人かの子物語。登場人物は概ね二人のどちらかに縁があり、彼らの持ち込んだ古着がそれぞれに込められた思いによって不思議な出来事へつながっていく。最後の話である、かの子の最愛であったこはくの遺品に関する物語は割と好みでした。2017/04/16