内容説明
――ぼくは、彼女が誰なのかわからない。ちょっとした不注意で事故に遭い、入院することになったぼく。退院の日、目の前に現れた女の子は、ぼくの“彼女”だと自己紹介してくれた。でも、ぼくの記憶では自分には彼女はいなかったはずなのに。――彼は、わたしが誰なのかわからない。今回の夏も、わたしは彼の前にやってきた。二人で過ごした日々、一緒に見上げた星空を取り戻すために。同じ七日間を過ごす彼を連れて、八日目の世界を教えるために。これは、夏を繰り返す、彼女とぼくの不思議な恋の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優愛
59
短夜に怯え、繰り返した夏。そこには呼吸、身体だってちゃんとある。ただ、想い出だけが失われたまま──。どうしても、どうしたって絶対に貴方が良かった。私には、貴方しかいなかった。忘れない。忘れないよ。あのこと座も小さな夏の第三角も。だから貴方も忘れないでいて。涙を隠して笑える程、降り注いだ星の数だけただ一人貴方だけを想ってきた。あの日、名付け掴んだ星は八日目の私を照らしてくれたね。居場所をくれた。大好きな人を救ってくれた。大切な想い出をあの空から返してくれた。夜に浮かぶあの星座のように私達を、繋いでくれたの。2017/11/04
佐島楓
57
意外性こそないものの、ふわっと自然なイメージが心に残る。シンプルで、優しくて、ちょっと哀しい。2016/09/30
おつまみ
55
彼女の秘密は悲しい。ただ、彼氏への想い、その背景、最後のどんでん返しと想いが記憶に残る。切ない系恋愛はいい。2019/09/29
た〜
52
作者買い。非常に良かった。交通事故にあった「ぼく」の前に現れた”彼女”を自称する女の子。”彼女”でない彼女が、幽霊になったこと、そしてやめる決意の恋愛物語。彼女と”彼女”の愛情も素敵だし、彼女を支える周囲の人々、特に「ぼく」の妹が素晴らしい。2016/08/26
インド
50
180冊目に到達!щ(゜▽゜щ)。ひまわり、夏、記憶、心臓、そして星の物語。彼女がいないはずの「ぼく」の前に、突然「彼女」を名乗る女性が現れる。しかし、家族も友達もその女性を彼女と認識している。彼女は何者か?幽霊とはなにか?キセキを起こす鍵は・・。明かされる真実に仰天すると同時に、切なさも押し寄せてきた。生きててほしかったなあ。そして、4年に渡る彼女の努力と、ふたりで交わされた星の話を受けて、前を向いて生きていくことを決める姿に、胸をうたれる。夏の星空の物語。2018/11/26