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内容説明
この金融危機は我々に何を問いかけているか。2008年夏、一瞬にして祭りは終わった。新自由主義とはなんと薄っぺらいものだったのか。表層的な原因分析や処方箋を越えて、いま考えるべき危機の本質とは? (講談社現代新書)
目次
序章 私たちもまた加担者であった
第1章 経済成長という神話の終焉(リーマンの破綻、擬制の終焉
宵越しの金は持たない-思想の立ち位置
専門家ほど見誤ったアメリカ・システムの余命
経済成長という病
グローバル化に逆行するグローバリズム思想
イスラムとは何でないかを証明する旅
「多様化の時代」という虚構-限りなく細分化される個人)
第2章 溶解する商の倫理(グローバル時代の自由で傲慢な「市場」
何が商の倫理を蒸発させたのか
私たちは自分たちが何を食べているか知らない
街場の名経営者との会話
寒い夏を生きる経営者
ホスピタリティは日本が誇る文化である)
第3章 経済成長という病が作り出した風景(利便性の向こう側に見える風景
暴走する正義
新自由主義と銃社会
教育をビジネスの言葉で語るな
テレビが映しだした異常な世界の断片
雇用問題と自己責任論
砂上の国際社会
直接的にか、間接的にか、あるいは何かを迂回して、「かれ」と出会う)
終章 本末転倒の未来図
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
リーマンショック前後に書かれたさまざまな評論を1冊にまとめたもので、書かれたときから時間は立っているもののこのような考え方があるという点では参考になりました。経済学者ではなく実業家の筆者ですが、日本とアメリカを行き来していて現場をよく見られていると感じました。先進国単独では、人口減少などで経済成長の陰りが見えている国が多いわけですが、その成長という考え方について問題を指摘しておられています。2018/07/08
Roko
24
経済成長のためにやってことのツケが回ってきたのです。生産拠点を国外へ持って行ってしまったために国内生産が空洞化してしまったり、円安で日本から逃げ出す若者が増えたり、非正規労働者が増えたり、いろんな不都合な事実が山積みです。 『人口減少は経済成長を鈍化させる原因なのではなく、経済成長の結果なのである』 終章で語られたこの言葉に、妙に納得してしまいました。この現実を受け入れること、そこからしか未来は見えてこないのです。2024/12/10
KAKAPO
24
平川克美さんの本は'11年に『ビジネスに「戦略」なんていらない』'20年05月に『路地裏の資本主義』を読み、親しみを感じていたが、この本は、あとがきに「それぞれのタイトルが付された文章には(中略)具体的な結論も処方箋もないじゃないかと言われれば、すいませんと頭を下げるしかない」と書かれているように、相互の因果関係やファクトが弱く意見も通り一遍で魅力に乏しい。私にとっての唯一の発見は、人口減少が社会の適正人口への自然回帰であるという考え方だけであった。'09年の本に、けちをつけても仕方がないんですけどね…。2020/07/30
tetsu
17
★4 派遣労働者解雇の問題や企業倫理の問題など示唆に富む内容が多い。 主題とは関係ない話題なども収録されており著者を知る上では参考になるかもしれないが、経済成長の限界という視点で一貫した方がより分かりやすく、インパクトがあったかも。2018/03/02
imagine
16
新型コロナウイルスによる経済停滞が始まりそうなので長年の積読状態から召喚。リーマンショックを受けて書かれているため刊行は10年以上前だが、タイトルの問いかけは今なお充分に有効だろう。私達は慣れ親しんだ思考の惰性に囚われるあまり、社会の発展プロセスの一つに過ぎない経済成長を作り出そうとする呪縛から逃れられない、とする主張には大いに首肯。他にもグローバル化とグローバリズムの違い、秋葉原連続通り魔事件への考察などは、2020年の今読むと著者の先見性を感じる。2020/03/24