内容説明
痴呆の老女の心に甦る初恋の少年との幼い遊戯の思い出(「紙」)、祇王寺の庵主の「男」をめぐるすさまじい逸話(「露」)、放浪の僧侶が抱く、さる女性の絹のように豊かな黒髪(「髪」)など、人間の宿業の深さを炙り出す11の物語。なかでも表題作の「髪」は寂聴訳「源氏物語」から生まれ、新作能『夢浮橋(ゆめのうきはし)』として上演され評判を呼んだ作品。煩悩を照らし、光明を見いだす短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
澤水月
10
「女徳」モデルの指詰め芸妓→90代尼僧の後日談が凄すぎ腰抜けた(晴美名義、出家前のヒット作)。これは書けないわ、近親相姦…(「庵主の男が」て惹句で勝手に男色想像w)ぼけと性の深淵が入り交じる作品が多い幻想的な短編群。70代なんてヒヨッコとばかりに女達が回想するさまざまな男…どちらが先でどちらが後か判らんくなっても平気、おむつに排泄する感触すら楽しみつつ枕の中から最後の男が抱きにくる妄想に身を沈める老女。表題作は源氏物語にちらと出る浮舟出家場面からよくここまで長く重く艶めく黒髪の美と妖しさ描いた髪フェチ傑作2014/06/06
HIROMI S.
1
性愛への逃れられない執着を業と呼ぶのなら、正にこの小説には業が満ちている。エロスと呼ぶにはあまりに生々しく、人間の心の中に潜む暗くドロドロとした後ろ暗い、色欲。正気を失ってなお心に渦巻く欲望。ねっとりとした文体で描かれるその世界の凄まじさよ。ただ、皆川博子なんかに比べると、そこに倒錯の気配が微塵も無いのが特徴。ひたすらに正当で真っ直ぐな欲情。2015/06/12
もずく
0
21冊目。女はいくつになっても女なんだね、、、怖いお話でした、いろんな意味で。でも希望がもてた。20代の小娘が読むほんじゃないねwwww2015/02/14
遠藤
0
小娘の私には読みときがむつかしいものでありました。次は彼女の長編小説を読もう。2015/01/20
みきぶぅ
0
当方アラサー女性。この本を楽しむには、私にはまだウン十年早かったです。30年後とか、共感しながら読めるような年齢が来たら面白いんだろうなぁ。2014/01/31
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