内容説明
江戸の都市計画・日本大改造の総指揮者、その名は河村瑞賢!
伊勢の貧農に生まれた河村屋七兵衛(のちの瑞賢)は、苦労の末に材木屋を営むようになり、明暦の大火の折に材木を買い占めて莫大な利益を得る。
その知恵と並はずれた胆力を買われた七兵衛は、食糧不足に悩む巨大都市・江戸の暮らしを潤すため、日本列島の海運航路の開発を幕府より命じられる。
その後も、大坂・淀川治水工事、越後高田藩の銀山開発など、幕府の数々の公共事業に関わるようになり、江戸という時代を縁の下から支えるインフラ構築事業に邁進していく・・・・・・。
新井白石をして、「天下に並ぶものがいない富商」と唸らせた男の波瀾万丈の生涯を描く長編時代小説!
伊東潤デビュー10周年記念作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
203
図書館本。河村瑞賢という名前を聞いたことある程度の知識でした。江戸を造ったというのは?越後治水と畿内治水に尽力した様を描かれてたので、江戸にも貢献したかも知れないが今作品では新井白石を見いだしたぐらいしか読み取れなかったです。ただ治水工事など一介の商人が人を掌握していくか大変勉強になりました。2016/10/09
starbro
158
伊東潤は、新作中心に読んでいる作家です。タイトルを見た時に「家康、江戸を建てる」と思いっ切り被っていると思いましたが、内容は全く異なりました。「江戸を造った男」というよりも、「江戸時代の公共工事請負人」といった感じです。河村瑞賢の物語は初めてだったので、大変新鮮でした。多少私の仕事とも共通点があったので、興味深く読みました。民活がされていたことが、260年余、江戸時代が維持された一つの要因なのかも知れません。2016/10/14
takaC
130
門井慶喜『家康、江戸を建てる』には大勢のヒーローが登場したが、この本の主役は河村瑞賢(七兵衛)ただ一人。2018/05/08
あすなろ
119
大欲・大利・徳望の人、河村瑞賢は、経世財民である。彼は、長期に亘る江戸時代の継続の礎を様々なインフラ作りをした隠居願う商人。捉え方によっては、総合商社やスーパーゼネコンに勤務する定年過ぎても再雇用されるいい人の現代の物語かのようだ。否、こうした人であったなら、現代でもインフラ作りに奔走しているに違いない。こういう現代における商人になりたいものだ。更に新井白石迄、タニマチとして育てた。以上、いいのだが、伊東氏としては緊迫感少なめと印象だった。直木賞受賞作とはならなかったのはそういう点か?2016/10/27
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
89
久しぶりに読む伊東作品。戦国ものの印象の強い氏の作品には珍しく、江戸の商人の一代記です。国家としても重要性の増す西回り海運航路の整備、越後国上田銀山の開発、淀川と大和川の治水工事と、一介の商人である河村屋七兵衛(瑞賢)が幕府からその手腕を認められ、次々と難事業をやり上げていきます。何事も、無理だ、できないと思ったらそこで終ってしまいますが、その先へと進んでいく勇気を与えてくれる一冊となりました。いつもと少し違った伊東さんの一面を見せてもらった気がします(*^^*)2017/05/30