内容説明
弱小の家に生まれ、幼少期を人質として過ごした家康は、織田と同盟を組むが、家臣同然の忍従を強いられる。信長の命で堺にいるとき、本能寺の変が起きた。三河へ戻るには、明智の追っ手から逃れ、敵が潜む伊賀を越えねばならぬ。杓子定規の石川数正、武田の家臣だった穴山梅雪ら、部下たちもくせ者揃い。己の凡庸さを知る家康は、四面楚歌の状況から脱出できるのか? 本能寺の大胆仮説もふくむ大仕掛け、注目の著者の歴史小説!
目次
第一章 持たざる者
第二章 獅子身中の虫
第三章 まな板の鯉
第四章 窮鼠の賭け
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
262
唖然!かつてこれ程臆病で小心な武将として家康を描いた作品があったろうか。神君と後世に称えられた家康が、信長という天才鬼神のお試しに右往左往し狼狽える姿を想像できるだろうか。終始家康視点で語られる本作、英雄であるはずの家康の小心振りには家臣も開いた口が塞がらない。絶対的な存在の信長に翻弄され、数々の命の難所:峠を越えた家康。生き残れたのは天才信長の読みゆえ?やがて迎える本能寺の変の真相(新説?)には驚き半分頷き半分でしたが面白い!強き者が生き残るのではない、生き残るのは『変化に対応できる者』俄然納得‼️🙇2019/10/29
yoshida
139
「神君伊賀越え」だけでなく、徳川家康の切所を峠に例え描く。徳川家康と言えば織田信長の同盟者として今川、武田の防波堤として働いたことが知られる。織田家の勢力が巨大になった後は実質的に傘下大名だろう。家康に襲いかかる様々な切所。金ヶ崎、姉川、三方ヶ原。嫡子信康を自害に追い込む苦しさ。よく身の程を知る家康は辛くも生き残り、本能寺の変を迎える。本作では本能寺の変の新説を唱えており、興味深い。普段は徳川家康についての作品は読まないので三河武士団の結束の過程等、興味深い内容だった。歴史好きなら読みやすい作品だと思う。2018/06/18
岡本
94
桶狭間や姉川など本能寺以前の家康の峠多き人生を振り返りつつ、神君伊賀越えを描いた歴史小説。この信長はなかなか好きになれないが、脇役に愛着を感じさせるのは伊東氏ならではと思う。本能寺の流れは読んでいて新鮮味を感じたのでこの部分だけでも読む価値はあるのではなかろうか。単行本を手にした時に「真田丸」での神君伊賀越えを思い出して笑ってしまったのは私だけでは無い筈。2017/01/06
キャプテン
69
★★★★☆_凡将・徳川家康の人生最大のピンチ〈伊賀越え〉をユニークに捉えたスピーディーな戦国時代小説。〈本能寺の変〉に至るまでの過程には何があったのか、今までに見たことない説で面白かった。凡人は、凡人であることを認識している。時に華やかな才能を持つ者より、背伸びもしない凡人が勝ることもあるのだ。信長vs.家康の人生の決着はいかに。キャプテンアメリカの手術を行った博士も、「弱者は力の価値を知っている」って言ってた(←関係無い)。はい、ここで一曲。「あなたと〜越えたい〜とうげぇ〜〜ご〜〜〜え〜〜〜〜」2016/09/27
ケンイチミズバ
66
人生は峠。越えても越えても峠ばかり。小動物家康のストレスは並大抵のものではなかった。信長という狼、信玄というトラ。圧のある部下。ピンチしかない人生。頭は500円ハゲだらけだったかもしれない。天才信長にいいように道具としてあしらわれた凡人家康にようやくチャンス到来。悔しかった、恥ずかしかった、怖かった、泣きたかった、バカだったと心の呟きが面白い。わしは死ぬのか!のくだりでいやいやあんたは死なないと思わず口に。信康はあまりに気の毒で立派だったし、戦場では身分の上下に関係なく意見するという考えが素晴らしい。 2016/09/12
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