岩波新書<br> 風土記の世界

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岩波新書
風土記の世界

  • 著者名:三浦佑之
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2016/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316046

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内容説明

風土記は古代を知る,何でもありの宝箱.土地のいわれや肥沃状態,古老の言い伝え,天皇の巡行など,バラエティーに富む内容から見える,中央国家と地方との関係とは? ヤマトタケルを天皇として描く常陸国,編纂命令から20年も経て提出された出雲国,滑稽譚満載の播磨国など,いくつかの謎を解き明かし,生き生きとした古代世界像に新たな読みで迫る.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 歴史書としての風土記
  1 律令国家をめざして──「日本書」紀
  2 「日本書」列伝の痕跡
  3 「日本書」志の構想

 第二章 現存風土記を概観する
  1 常陸国風土記のあらまし
  2 出雲国風土記のあらまし
  3 播磨国風土記と豊後国・肥前国風土記のあらまし
  4 古老相伝旧聞異事について

 第三章 常陸国風土記──もう一つの歴史と伝承の宝庫
  1 倭武天皇はなぜ存在するか
  2 「夜刀の神」をめぐる地方と中央
  3 松になった男女

 第四章 出雲国風土記──神の国ともう一つの文化圏
  1 撰録者としての出雲国造
  2 王権としての出雲──国引き詞章と語り部
  3 出雲神話にみる日本海文化圏
  4 カムムスヒ──出雲国風土記と古事記とをつなぐ

 第五章 語り継がれる伝承──播磨国風土記と豊後国・肥前国風土記
  1 笑われる神と天皇──播磨国風土記
  2 速津媛──豊後国風土記と女性首長
  3 遠征するオキナガタラシヒメ──肥前国風土記と日本書紀
  4 稲作をめぐる伝承──事実を保証する方法

 まとめにかえて
   あとがき
   参考文献一覧
   引用資料一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yamahiko

19
地名の古層を明らかにする行為は、どこか征服を根拠付けるための作為が見え隠れするが、地域によってあるいは編まれた年によって、征服された側の幾ばくかの抵抗の印を残すものだと思った。資料を丹念に読み解いていく面白さが良く解った。新書の性格上、もっと深く知るための序章と捉えれば、物足りなさは致し方ない。2016/12/11

Kazehikanai

18
常陸と出雲の風土記を中心に、今に残された5つの風土記を、古事記と日本書紀と対比しながら、解説する。風土記には伝承されてきた神話や伝説が記述され、この国の成り立ちが垣間見れる。各地の地名の起源や朝廷との関係性、伝説の天皇の滑稽な姿などが面白い。興味深いのは、古事記、日本書紀との共通、類似や差異。失われた逸文には、何が書かれていたか、何が書かれていなかったか。失われた歴史は永遠のミステリー。そういう意味では、古事記や日本書紀より奥が深い。2018/11/03

こういち

17
「風土記」は面白い。滑稽で間抜けな神さまを描いていると思いきや、逸話に秘められた暗示を予感させる。現代にも残る数ある神事は先人たちのメッセージ。そして地名が語る、その土地の成り立ち。歴史は過去の出来事を綴りながら、喜怒哀楽を包むドラえもんのポケット。必要なものを必要な時に、どう取り出せるかで未来は変わる。本書は、「伝承を読む論理を鍛えて遺された資料に向き合うこと」の大切さを柔らかく、そして丁寧に語りかける。2016/04/29

HMax

10
大和政権によって統一される以前の群雄割拠の時代の様子が風土記には僅かに残るようで、30-40あったと思われる各地の風土記が無くなってしまったことが残念ですが、それでも1300年以上も前の歴史書が写本等を通じて残っているというのは素晴らしいことだと思います。ISISによる紀元前から残る文化遺産の破壊、お隣では李氏朝鮮の仏教弾圧による徹底した廃寺。最近ではイタリア地震でのアマトリーチェの被害、後世に歴史を残すということは大事ですね。北陸地方を表す古名「コシ:越」についての話しが印象に残りました。2016/09/03

なおこっか

9
風土記にあまり馴染みがなく理解可能かやや不安なまま手にとったが、流石はしをんさんの父上、抜かりなく古事記と日本書紀と比較しながら三本建てで立体的、かつ鮮やかに風土記の書かれた時代を紐解いてくれました。古老の伝承を中心に据えてあるので読みやすい。特に常陸国風土記に書かれた長閑に巡行する天皇ヤマトタケルと、古事記、日本書紀のヤマトタケルの異差の読み解きが面白い!日本書紀の資料としての風土記と、異なる系譜で語るべき古事記、という父上の主張は主流派ではないらしいけれど、とても説得力あり。2019/07/06

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