内容説明
胎児は子宮の中で脳を使って光を感じ,〈生物時計〉を動かしている.著者らは,近年発見された明暗情報を脳に伝える光受容体メラノプシンが胎児期に最も早く機能しはじめること,赤ちゃんの成長に明暗環境が重要であることを明らかにし,早産児の睡眠をコントロールして発達を促す「調光保育器」を開発した.[カラー口絵2ページ]
目次
目 次
はじめに
1 お腹の赤ちゃんを見たい
子宮の中の赤ちゃんは何をしている?/超音波で胎児を探る/エコーではわからないこと/きっかけは「早産児」/胎児の知覚/臓器の機能も見えてきた/治療や医療機器の開発に役立てる
《コラム》超音波診断器の開発
2 赤ちゃんの成長と睡眠の関係
赤ちゃんは音を学習する/加速度センサーの威力/音への反応と睡眠の関係/睡眠の深さを記録する/新生児室の中央管理システム/心拍数から授乳の間隔を考える/加速度センサーで睡眠を調べる
《コラム》加速度センサーの意外なスゴさ
3 母と子をつなぐ生物時計
「脳」で光を感じる/サーカディアン・リズム/ 「光の情報」が胎児を育てる/お母さんの食生活も伝わっている/いつから「脳」で光を感じるか
《コラム》胎児はホルモンで情報を受け取る
4 生物時計の正体と時計遺伝子
生物時計「視交叉上核」/時計遺伝子の発見/体じゅうにあった生物時計/環境センサーになる時計遺伝子/いつから「目」で光を感じるか
《コラム》時計遺伝子と時計タンパク質の関係
5 メラノプシンの大発見
視覚研究を変えた「メラノプシン」/三つの光センサーがはたらく順番/赤ちゃんとメラノプシン/赤色の光が見えていなかった!/ところがどっこい、ロドプシン
《コラム》メラノプシンはカエルから
6 光が生物時計をコントロールする
生物時計を乱す「光」/マウスを求めてアメリカへ/研究は培養器づくりから/緑色に輝く神経細胞/光が神経細胞を制御する/ずっと明るいと生物時計はおかしくなる
《コラム》クラゲか? ホタルか? それが問題だ
7 赤ちゃんは光で育つ
赤ちゃんのメラノプシンを調べた本当の理由/新生児室に採用されない理由/赤ちゃんには暗く大人には明るいマジック・ミラー/赤色のフィルターで「夜」をつくる/光フィルターで赤ちゃんの睡眠を促す/光フィルターで体重は増えるか?/赤ちゃんは光を利用して成長する/次のステップは「調光型光フィルター」/理想的な保育器を求めて
《コラム》生物統計でヒトの臨床研究が変わる?
おわりに
参考文献・図の出典
感想・レビュー
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calaf
azu3
takao
ほりほりぷ~
亜済公