内容説明
『レイテ戦記』執筆過程の昭和42年3月、一兵士として戦った現地を再訪し、自らの生と死との彷徨の跡を尋ねる。賠償問題が解決してもなお、反日感情が根強く残る時期、亡き戦友への追慕と鎮魂の情をこめて、詩情ゆたかに戦場の島を描く。『俘虜記』の舞台となった、ミンドロ島、レイテ島への旅。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
19
大戦末期にミンドロ島で陸軍暗号手を務めていた作者の回想期を踏まえた戦後の現地訪問記。終戦から20年しか経過していないセンシティブな時期の訪問のため、現地人の心境を慮る心境や計画していた目的地に辿り着けないもどかしさなど当事者にしか表現できない内容となっている。巻末の報告記も詳細でよい。個人的には捕虜になった際の米兵とのやり取りが興味深かった。2021/03/16
Toska
7
再読。個人的に最も大きな感銘を受けた戦記文学の一つ。戦争も軍隊も大嫌いで、国策などは全く支持しておらず、なのに無理やり戦場へ駆り出され危うく死にかかった大岡昇平。その大岡が、ミンドロ島で死んだ戦友を忘れられず、感情の激発に背中を押されて鎮魂の旅を試みる。これは確かに、戦争という極限状態を経験した人でないと分からない心の動きであろう。ごくわずかな期間を共有しただけの戦友たちが、生涯「忘れ得ぬ人々」となったのだ。2021/08/12
teitowoaruku
2
「そこにいる日本人の頭を二つに割りたいそうで…」と言われたことについて、著者と同じく衝撃を受けた。戦後二十五年が過ぎても、日本人への憎しみが相当に残っていたことを感じさせる。戦争に対する加害者意識(特にアジア諸国への)が低いことについては、今一度日本人全体が考える必要があるだろう。2022/01/04
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