講談社文庫<br> 妖女のごとく

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講談社文庫
妖女のごとく

  • 著者名:遠藤周作【著】
  • 価格 ¥565(本体¥514)
  • 講談社(2016/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061848795

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内容説明

友人の結婚相手にと、大河内女医の身辺を探りはじめた辰野は、いつしか妖しい魅力の虜になり、底知れぬ蠱惑(こわく)の罠に陥っていく。やがて明かされる意外な真相が、さらに恐怖を呼び起こす……。都会感覚あふれる傑作サスペンスロマン。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

91
読み進めるうちに徐々に怖さを感じさせるサスペンスでした。1人の女性の天使か魔女かという2面性を描くのに鳥肌が立ちました。誰にでも優しい女医・葉子には隠れた本性をじわじわと追いつめるうちにその妖しい魅力に取り憑かれていく恐ろしさ。それは二重人格に魅せられる罠であるように思いました。ジキルとハイドを彷彿とさせる世界観ですが、物語自体は非常にシンプルで読みやすく、面白かったです。エリザベート・バートリを物語に織り込んだことで色彩がより鮮やかになっていますね。善悪を軸にしているのは流石遠藤周作です。2016/01/16

優希

59
面白かったです。読み進めていくと徐々に怖さを感じさせました。誰にでも優しい女医・葉子は天使か悪魔どちらかという謎に惹かれる辰野。葉子の隠れた本性を追求するうちにその妖しい魅力に引き込まれていくのに鳥肌が立ちました。恐怖を呼び起こすサスペンスだと言えますね。2021/04/30

活字の旅遊人

34
医者ネタミステリー。以前、新潮文庫の『真昼の悪魔』を読んだが、そこにも大河内という女医が登場していたな。本作ではその大河内医師が二重人格で、一方の人格は16世紀ハンガリーの猟奇的殺人者の生まれ変わりだと。なかなかの設定だが、ちょっと無理があるよなあ、と思う部分も。しかしその大河内に心を奪われていく主人公や他の男性たち。主人公を慕う職場の女性。このあたりの心理的な展開や分析、そして表現には大いに引き込まれた。怪しいもの、危険なものに吸い寄せられる。ああ、分かる……。ラストがハッピーエンドと言えないのも良い。2023/09/12

そうたそ

26
★★★☆☆ 友人が結婚を望む美貌の女医の身辺を探ることになった辰野だが、次第に妖女たる彼女の魅力の虜となり、その罠の深みに落ちていくこととなる――。遠藤周作ってこんなものも書いていたのかと驚かされるようなサスペンス。普通に書けば安上がりなサスペンスで終わってしまうところにエリザベート・バートリーという人物を組み込んでいくところに面白さを感じる。些細な理由でも簡単に個人の住所等の個人情報を教えてしまう、あるいは手に入ってしまう時代に驚くばかり。基本的には軽いサスペンスで読みやすい。2018/02/23

bouhito

11
遠藤周作には3つの顔がある。1つは沈黙や海と毒薬など、純文学の大作家としての顔。もう1つは、狐狸庵先生というおちゃらけエッセイ家としての顔。そして、その間に、この手の中間小説の名手としての顔がある。中間小説の時の遠藤周作は、必ず氏らしい深みがある。その深みは、畢竟、登場人物の深みであって、それは単に天使と悪魔の二面性を持つ女医の個性だけではなく、危ないと思っていながらも妖女にひかれてしまう主人公の弱さというところにも現れている。山口百恵の比喩もそうだけど、個人情報が簡単に手に入るあたり、時代を感じる。2017/01/15

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