内容説明
殺人罪で米国の刑務所に服役する由良は、任務と引き替えに出獄、CIAのエージェントとなる。スリーパー(秘密工作員)として活動する由良のもとに、沖縄でのミサイルテロの情報が……。著者渾身の国際謀略長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
52
CIAに任命され、北朝鮮と接触する由良。その矢先で進んでいたミサイルテロ計画。中国やアメリカも絡み、アジアの覇権を握ろうとする行き先にハラハラさせられました。2020/12/11
James Hayashi
30
北朝鮮を中心とした米中のパワーバランスと日本。北朝鮮など取るに足りない国であるが、潰さないのはそれなりの理由がある。それぞれの国の政治が絡み一筋縄にはいかない国際政治。そういった背景を書き出しながら、たった一発の携帯地対空ミサイル(スティンガー)が国内に持ち込まれ普天間基地が狙われる。銃兵器にも詳しいが、死臭の対処までストーリーに入れ込むオタク的な国際諜報小説。シリーズ化される事を望む。2016/12/26
うめ
28
国際情勢に明るくないため、フィクションとは言え、日本や米軍基地の戦略的配置だとか、大国の思惑だとかが、なるほどと腑に落ちた。なんであんなに核実験しつつ、米軍が動かないのかなどなど。日本中心で北が上のメルカトル図法だけでなく、様々な視点からの地図を見るのが大事だな。面積も距離も、そこから展開できる戦略も変わる。物語はスタイリッシュだしテンポも良いし、シリーズだったみたいだし、他のも読みたい。2019/06/17
shiozy
27
相変わらずスケールのでかい楡周平である。CIAにスカウトされた日本人が主人公である。その活躍もさることながら、中国・北朝鮮・アメリカ・日本を取り巻く政治的軍事的緊張感を描くリアルさがさすがである。もう一度デビュー作『Cの福音』から読み直してみようかと思ったりもするのである。2016/09/24
Walhalla
25
CIAの秘密工作員になることと引き替えに出獄した日本人男性の物語です。日本を囲むように、アメリカ・中国・韓国・北朝鮮・ロシアの思惑が絡み合いますが、楡周平さんの国際情勢をベースとした物語はいつも面白いです。そして、著者の『Cの福音』シリーズのあの人のまさかの登場で、テンションあがります。ファンにはたまりませんね。2023/09/26