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内容説明
丸山眞男(1914-96年)は、戦後日本を代表する知識人である。その政治的著作は敗戦直後から多大な影響力をもち、丸山は「戦後民主主義」の象徴となった。本書は、その全主要著作を通覧し、解説する絶好の概説書である。しかし、丸山を生涯にわたって貫く原理である「丸山眞男の哲学」を発見し、それを前提に著作を読んでいく中で、本書は驚愕の結論に到達する。──丸山眞男は、1960年にはすでに「敗北」していた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
11
最初の数章でわくわくし、途中の数章で退屈し、最後の1章でブチ切れた。戦後民主主義の代名詞とも言うべき丸山真男、主体性や責任を強調する彼の「哲学」が実は相対性に貫かれていたという指摘から始まる。特定の確固たる立場を一貫して主張するより、「永久革命」として絶えず変容していく開かれた主体にこそ丸山の本質だと思っていたのでその指摘は納得できた。その後の時系列的に思想変遷を追う部分は典型的な思想史家の仕事であり、非常に退屈だが、許容ではできる。時代が変わっていく中で丸山が書けなくなったのも事実だ。問題は最後だ。2016/09/19
bapaksejahtera
8
丸山眞男は向坂逸郎ほど党派的にのめり込む事のない戦後民主主義の論客として、安保闘争を背後から指導した。大学紛争では聊か尊厳を欠く姿を呈し、国内的にも国際的にも共産主義には腰の引けた姿勢を見せたとしても、いわば敬して遠避くに足る思想家という理解であった。本書は彼の思想的軌跡を解り易い文章で追い分析する。丸山の思想を強く批判する吉本隆明や、違う立場で戦争や戦後思想を分析する山本七平らの視点を用いる著者の丸山思想批判も妥当と思う。但し最終章など、それだけの批判を呈する著者の思想的総括は那辺にあるか聊か心許ない。2022/06/12
masanari
2
丸山の思想の変遷を時代の変化とともに論じた本。テクストの背後に隠された丸山の本心を暴こうとした野心作でもある。決して優しい内容でないが、先の展開が気になり一気に読めた。ただ最後は自分語りがすぎると思った。2021/02/13
trazom
1
若き論客が、神格化された巨人を論評する。それも、結論は「丸山が目指した戦後民主主義は、戦後社会に敗北した」と刺激的。丸山の思想信条を支えたのは、戦争の死者の呪縛であり、そのことが丸山の思想から柔軟性を奪ったというのは正しいだろう。ラカンやレヴィナスが、自分の正しさを疑い、新たな「構造主義」の哲学を生み出したのと比較して、所詮、丸山眞男は「相対の哲学」であって、戦中戦後の「逆風」と戦うことに慣れてしまい、平和な世の中に対応できなくなったというのである。頭をぶん殴られた思いで、私は、まだ考えが整理できない…。2016/11/04
takao
1
「相対の哲学」の敗北2017/04/11
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