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内容説明
文法・訳読はほんとうに時代遅れか。「英語の授業は英語で」で、何が起きるか。英語を読む力よりも、話す力が求められる、昨今のコミュニケーション偏重の風潮に疑義を呈し、日本人は英語とどう向き合うべきかを根本から問い直す。「英語の授業は英語で行う」。文法訳読の授業はいらない――。そんな新指導要領の方針に疑義あり!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
29
例えば企業が英語を公用語にしたり、あるいは(本書が指摘するように)学校が英語での授業を行ったりするようになる。すると単純な話、日本語で英語を理解する力を養う段階を踏まない/踏めないことにつながる。その風潮に本書は異を唱えている。実に細かい議論から見えてくるのは、日本語で抽象的な思考を行うことの大事さや日本語力をベースとして鍛えること、そしてそこから正確な文法知識を得ること。もちろん英語の読解力やリスニングやスピーキングを鍛えることも大事だが、そうした「ベース」あってこそという指摘は今なおアクチュアルに響く2023/06/08
yutaro sata
28
学校の英語がコミュニケーション重視になっていくのはかまわない。英語でコミュニケーションが取れることはこれからもっともっと大事になってくる。ただ、訳読するという作業を通して英語と日本語のあいだを行き来するということをしなければ、英語の性格、あるいは日本語の性格というものを掴むところまではいけない、という話が展開されている本だと思う。私は研究した訳ではないのでそれが一番深みに至る効果的な方法かどうかを断言することは出来ないが、本書の言うように、訳読が大変刺激的な思考訓練になることは確かだと感じる。2022/06/09
Gatsby
16
現在の学校での英語教育の方向性について、大切なのに意外と議論されていないポイントを突いた本である。英語⇒日本語の変換がしっかりできないのに、英語が理解できるのかという問題がある。今の「コミュニケーション重視」の考え方では、英語⇒理解ということを考えているのだが、英語⇒日本語⇒理解というプロセスを経ずに理解できる英語の内容は確かに限られている。「コミュニケーション重視」の英語は、特に中学レベルでは何年も前から行われており、その悪影響(だと私は思うが)は、高校現場では深刻である。現場は本当に混乱している。2011/04/03
N島
15
英語を学習するうえで、日本人であるハンディキャップは大きい。そのハンディキャップを背負いながら先人達が試行錯誤して築き上げた日本ならではの英語学習法を、役立たずと切って捨てる昨今の風潮に、一石を投じる一冊。僕のようなオールドタイプの英語学習者を勇気付ける良書。2014/02/16
ケニオミ
11
文科省が推し進める英語の授業を英語で行うということに、大学の英語の先生(?)として根拠を挙げ、それをサポートする事実を添えて反論する本です。連れ合いから薦められ読みましたが、とても納得できる内容でしたが、読み進めるのには、あまり面白味が欠けていたと思います。英語をある程度理解していれば、必ず賛同できる内容だと思います。文科省の役人って、本当に頭がいいのやら、悪いのやら。2015/10/02