内容説明
ベストセラー『日本史の謎は「地形」で解ける』の著者、待望の書き下ろし。
日本のエネルギー問題は、
世界でもまれな「地形」と「気象」と「既存ダム」で解決できる!
未来に希望が持てる、目からウロコの新経済論。
新規のダム建設は不要!
発電施設のないダムにも発電機を付けるなど、既存ダムを徹底活用せよ
――持続可能な日本のための秘策。
☆著者の言葉
「日本のダムは、ちょっと手を加えるだけで、現在の水力発電の何倍もの潜在力を簡単に引き出せる――。
この事実を、今、日本の人々に伝えることが、数少なくなった「水力のプロ」としての私の義務であると考えています」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
104
国土交通省のダムの専門家として従事してきた著者が水力発電の魅力と可能性から将来展望を語る一冊◆これは面白いなぁ。これからのエネルギー問題を環境や経済、技術的側面から考えた時、水力発電ほど日本の事情にマッチするものはないのではないだろうかと思えた。ダムに関する知識も豊富に紹介されていて楽しめる一冊。◆日本のダムには「利水」と「治水」の2つの目的がある。極力水を貯めておきたい利水と、極力ダムを空にしておきたい治水を兼ねるため、ダムの容量の半分しか溜めないという古い規制がある。これを改訂すれば貯水量は2倍に..2020/05/14
きみたけ
73
これまで原子力発電に関する本はいくつか読みましたが、再生エネルギー筆頭の水力発電にスポットを当てた本は自身初。著者は元国土交通省河川局長で日本水フォーラム事務局長の竹村公太郎氏。既存のダムにちょっと手を加えるだけで年間2兆円超の電力を増やせると説いた一冊。時代遅れとなっている河川法の改正、既存のダムのより効率的な活用、治水目的ダムの中小水力発電化がその具体策。ダムが100年、200年後も壊れない強固な建築物であり半永久的に発電の利益をもたらすとのこと、今こそ水力発電の良さを見直す時期だと思いました。2022/08/09
けんとまん1007
65
水力発電。電力を考える時、コストの3文字が踊る。それも、それを主張したい立場に都合のいいような積算で。そこに欠けているのか、あえて触れないのかもしれないが、時間軸の視点。あまりにも、ダムについて、また関連法規について知らない・知らされていないことを痛感。それにしても、この本の熱量は凄い。それは、危機感の裏返しでもある。2022/06/17
おさむ
48
建設省OBの「ダム屋」さんによるダム利用の活性化の提言書。かつダムは油田」「ダムは半永久的に壊れない」などのフレーズや発想がユニークです。利水と治水という矛盾した2つの目的を持つ多目的ダムの運用を変更して空き容量を発電に活用出来るようにする。既存のダムを嵩上げする。発電設備がないダムには工事で穴を開けてつける。砂防ダムや農業用水路の小水力発電を推進する。日本の地形を最大限に利用してエネルギーを確保する。原発のオルタナティブとしては、とても有効な気がします。2017/09/07
Kentaro
45
今この時期に、そうしたダムを含めた水力発電の経験やノウハウを、未来に繫いで残しておかなければならない。 日本のダムは半永久的に使える。たとえ一〇〇年経っても、ダムは水を貯めている。ダム湖の水を電気に変換できる。しかも、ちょっと手を加えるだけで、現在の水力の何倍もの潜在力を簡単に引き出せる。 利水のためにはダムの水は多いほうが良く、治水のためにはダムの水は少ないほうがいいわけで、利水と治水は互いに矛盾している。つまり治水のためにダムに半分しか水をためていないので、発電量が押さえられざるを得ないのだ。2022/04/19