ちくま新書<br> 集合住宅 ──二〇世紀のユートピア

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ちくま新書
集合住宅 ──二〇世紀のユートピア

  • 著者名:松葉一清【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2016/08発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480069085

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内容説明

二〇世紀前半にかけて、世界中で建設された集合住宅は、庶民にも快適な生活を行きわたらせようという強い信念に支えられていた。加速する工業化と並行する形で、資本家・政治家・建築家の知恵を結集し、大規模かつ精力的に展開された集合住宅の建設計画。そのいわば「夢の跡」は、ウィーンにパリにフランクフルトに、そして日本にも見ることができる。貧富の格差拡大の警鐘が鳴らされる今日、公共住宅復権の可能性を睨みつつ、ユートピア建設の軌跡を追う。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

54
日本、ドイツ、オーストリア、オランダ、フランスの歴史ある集合住宅を概観し、建築家の意図を探ったもの。昔は集合住宅は労働者のものであり、その建築には建築家のポリシーが反映されていた。日本の現代建築への静かな問いかけであった。2016/09/25

kotte

13
海外の集合住宅と日本の集合住宅は設計思想が違うような気がして、私は日本の集合住宅にしか興味がもてません。本書では1章で軍艦島の集合住宅が紹介されており、大変興味深かったです。2017/06/10

アメヲトコ

9
20世紀における集合住宅によるユートピア追求の動きをたどる一冊。取り上げられる事例は日本では軍艦島と同潤会、海外ではフランクフルト・ウィーン・アムステルダム・パリレッチワースなど。全般にヨーロッパ出羽守臭がきつく、読んでてイライラしてきます。いい加減こういう紋切り型の図式は何とかならないものか。2019/06/30

浅香山三郎

8
非常に面白い。集合住宅といふ、一見余り建築史的な面白さがなささうな対象を扱ふが、軍艦島、フランクフルト、ウィーン、パリ、アムステルダム、東京といふそれぞれの場所と建築家、政治家によるコンセプトの関係を追究し、工業化・都市化に伴ふ労働者の住宅の整備といふ、近代都市共通の課題へのそれぞれの社会による解答を論ずる。それは、集合住宅を梃子にした、長い20世紀史の試みであり、もつと言へば、社会改造思想・社会主義の実践史を辿ることでもあると感じた。原武史さんの一連の日本における戦後団地史の研究とも響き合ふ成果。2016/10/14

またの名

7
産業経済の発展を推し進める都市計画にとってのビジョンでもあれば大衆労働者が団結し生活と権利を獲得していく社会主義的ユートピアの前線でもあった、20世紀型住宅。居住者無き廃墟と化したが独特の雰囲気を湛える元炭鉱街だった軍艦島、よそ者を警戒し閉ざされた所有意識をぶつけてくるベルリンやフランクフルトに比べ労働者のためのその名もカール・マルクス・ホフという建築が残る開かれた空気の「赤いウィーン」、美学的に見ても壮観な造りが佇むパリやアムステルダム。日本の集合住宅がなぜ味気無いのかが平行配置の呪縛として理解できる。2023/05/01

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