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内容説明
近代思想としての仏教は、西洋哲学との出会いの中から生まれた。仏教を哲学的な宗教として捉え直した井上円了や清沢満之の思想は、日本の独創的哲学の原点となり、やがて明治後期には青年たちの人生の指針たり得るような、教養としての仏教思想が一大ブームを迎える。『歎異抄』を典拠とした近角常観や暁烏敏、倉田百三らの仏教思想は、大正教養主義のうねりを経て、やがて昭和の戦火の中に突入していく──仏教が近現代人の思想に及ぼした、深く広い影響を解明する野心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
日本仏教が近代の衝撃と出会ってからの思想の変遷を追った一冊。清沢満之や暁烏敏といった代表的な仏教思想家を年代ごとに追うことによって、同時に近代仏教がどう変化していったのかもわかるようになっている。哲学から個人の信仰へといった道筋も興味深いが、各思想家の特色もそれに輪をかけて面白い。共通しているのは仏教の危機感だと思うのだが、それを各人が深化させていった道筋にもまた興味を惹かれるなあ。あと全体的に取り上げられているのは真宗関係の人間ばかりであるため、もっと他の宗派、特に日蓮宗などについても知りたいと思った。2016/10/11
to boy
23
再読。江戸時代の寺請制度が無くなり、海外からはキリスト教や西洋哲学、近代科学が入ってきて従来の仏教では社会に受け入れられなくなるとみた5人の近代仏教運動をわかりやすく解説。西洋哲学に対抗しうるものとして仏教を見直したり、歎異抄を従来の宗派とは違う解釈をしてみたりしていて面白い。また著者は変容する近代仏教が政治経済に与えた影響が過小評価されているので再評価のきっかけになればとあとがきで書かれているので機会があれば関連本を読んでみたい。それにしてもこういう本は再読するたびに新しい発見があります。2021/04/04
to boy
20
現代という時間が唐突にあるのではなく過去からのつながりを引きずって今がある、という当たり前のことですが、明治以降の政治、経済、思想、科学はいろいろと研究されているが仏教についての研究が足りないのではないかという若き研究者からのメッセージ。明治、大正期の代表的な5人の仏教者を取り上げ哲学、キリスト教と立ち向かいながら近代化していく仏教(主に真宗)を述べています。難しくて分からないところも多々ありましたが面白く読めました。2016/12/16
nbhd
20
良い本だ。近現代における『2度の仏教危機』(明治初頭の「廃仏毀釈」と戦時期の「大政翼賛」)の間に”仏教者は何を考えていたのか”を概説した本。けど、裏テーマは「”現代の親鸞語り”はいかに形成されたか」だ。親鸞さん本を読むなかで、僕がキナ臭く感じていた「親鸞を通しての自分語り」という方法は、どうやら明治大正期に完成したらしいことがわかる。近角常観は「超越体験」を語り(俺、目覚めた系)、暁烏敏は「信仰告白」(俺、ダメダメだけど系)で親鸞の普及に貢献。書店にある仏教本の大半って、この2つの路線に集約できちゃうね。2016/08/04
nbhd
15
そろそろ別の分野の本を読みたいのだけど、いまだ親鸞さん周辺をぶらついている。残る課題は2つ。ひとつは「なぜ親鸞さんの教えから暴力が発生したのかな?問題」で「一向一揆」が気になっている。もひとつは「教えが教団組織化すると、どうしたってグロくなる問題」だ。で、近代真宗教団の動向をもうちょい掘り下げようと思って再読。いちばん気になるのは、歎異抄の普及に貢献した史上最もラノベチックな名前の暁烏敏パイセン。この人は、念仏総長と呼ばれながらも、文春チックなスキャンダルにまみれた人でもあって、妙な魅力の持ち主だ。2016/08/13
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