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内容説明
嗜好品は古くから見出され、追い求められてきた。酒、煙草、お菓子。コーヒー、お茶、チョコレートなどのカフェイン。これらの多くは稀少品であったが、資本主義の発展とともに、大衆消費品となっていく。この過程をたどると、快楽と癒着した歴史が浮かび上がり、欲望の形が明らかになる。なぜひとは嗜好品を求めるのか? それを快楽とするならば、快楽とは何なのか? 嗜みとつき合うための技術と経験とは? 人文学と科学の両方の知見を援用しながら、生命の余剰とでもいうべき嗜好品を考察し、人間の実存に迫る一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tsu55
11
栄養やエネルギー源としての食事ではなく、楽しみや、慰め、宥め、気晴らしといった目的で口にするもの‐嗜好品。 誰のためにではではなく、私が私として私のためにする人生の余剰としての嗜好品。嗜好品に対する愛のあふれたエッセーでした。2017/08/06
森
9
図書館で借りて、興味のある部分を摘み読み。読書というより知識のインプット。ぱっと見、漢字が多いですが、以外と読みやすい、慣れた文章です。2015/04/22
くさてる
5
人間の文化を彩ってきた様々な嗜好品についての本。それらの文化史をひも解くかと思いきや、そこから派生した考察や著者の視点からなる文章が、思いのほか印象的に良く、単なる文化史の本ではないと感じた。嗜好品に興味あるひとにもお勧めだけれど、この教養に裏づけされた気取らずに深い文章もお薦めです。2013/04/24
花
5
なぜ、人間は栄養的に必要でない嗜好品を求めてしまうのか。「食べる」ということは人間にとってどういう意味を持つのか。いろいろな文献を引用しながら、嗜好品をめぐる人間たちのありかたを綴った、気儘なエッセイ。食べることをおろそかにすることは、人間としての尊厳を捨てることなんだなー、とちょっと反省。2011/01/24
きいち
4
何か一貫した論理を展開するわけではなく、タバコ、スイーツ、砂糖、そして食べる量と、口にする快楽についてのまさに「あれこれ」なのだけれど、楽しかった(しかしこの人、専門が「農学原論&社会思想史」って本当に面白そうな人だな)。それにしても、王侯の見せびらかし的な砂糖の蕩尽と、「ミナミのパーラーでパフェに没頭する中年男子」的な一人の世界への逃避行にはだいぶ距離がある。喫煙は後者だな、キーワードは、区切るにせよ引き延ばすにせよ、「時間」のようだ。パーラーといえば、パチンコも喫煙的な耽溺だしな。。2013/01/05
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